第5話 だいすき

まーちゃんは、翌朝にはけろっとしており、いつものように、あいちゃんと手を繋いで保育園に行くのだった。

「まーちゃん、もうだいじょぶ?」

「うん!だいじょぶ!げんきげんき!」

まーちゃんが力こぶをつくる。幼いたぷたぷの腕に、力こぶなどできるはずもないが。

「もうあそべる?」

「うーん、おかあさんが、しばらくしずかにしてなさいって」

「そっかー」

あいちゃんは残念そうだが、ホッとした表情も混ざっている。

「ね!きょうはおえかきしよう!」

「まーちゃんは、おえかきすきねー」

「うん!だいすき!」

それを聞いて、あいちゃんはなぜか膨れっ面だ。

「あいちゃんと、どっちがすき?」

「それは…」

まーちゃんの視界には、先生があいちゃんの方を全力で差すのが見えた。

「もちろん、あいちゃん!あいちゃんだいすき!」

「ほんと?」

あいちゃんの顔が、ぱあっと輝いた。まーちゃんは、空気の読める子供だった。

いつものように、あいちゃんはまーちゃんを、まーちゃんはあいちゃんを描く。あいちゃんは見事な黄色の髪に、黄色い蝶々のようなリボンを付けている。だから、まーちゃんのクレヨンは、黄色ばかり減っていく。

それに対して、あいちゃんは何故か緑を好んだ。まーちゃんには、別に緑色のところなどないはずなのに。

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