第8話 やせい
ジャガーたちが駆けつけるのに、それほど時間はかからなかった。セルリアンはすぐに倒され、バスも引き起こされた。子供たちも軽症なようで、むしろ大人たちの方が重症だった。
「あいちゃん!」
まーちゃんが駆け寄るが、あいちゃんはまーちゃんに飛びかかってその爪を振り下ろす。
「うがあああっ!」
鋭い爪はまーちゃんの顔をかすめて宙を切った。すんでのところでジャガーが間に合ったのだ。
「大丈夫、もう終わった」
羽交い締めにされたあいちゃんは未だ唸りながら大人のアニマルガールであるジャガーの縛から逃れようと暴れる。その目は鈍く光っていた。
ジャガーがあいちゃんの肩を掴み、膝をついて顔を覗き込む。
「よく、やったな」
それでもあいちゃんは歯を剥き出したまま目を見開いている。
「いいんだ、もういい」
ジャガーががっしりと抱きしめると、ようやく力が抜けたのか、あいちゃんはそのまま気絶してしまった。
以来、あいちゃんは保育園に戻ることはなかった。危険性が問題視された、というのが表向きの理由だ。実際には、それ以上にセルリアンの脅威が議論の的になっており、人類の兵器に効力がない以上、アニマルガールの戦力化が急がれていたのだ。
アニマルガールの生長は早い。あいちゃんと呼ばれていた子供はすっかり成獣だ。アムールトラのアニマルガールである彼女も訓練課程を経て、五年後には部隊に加わっていた。
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