第7話 せるりあん
「カレーライス、できてるよー!」
先生たちが声を掛ける。
子供たちがテーブルに駆け寄ろうとした時、地の底から響くような地鳴りがした。
思わず皆が振り返ると、森の陰から球体状の青いものがいくつも現れた。セルリアンと呼ばれる、生物かもわからない異形未解のものだ。セルリアンは時折現れる。直接人を襲うことはないが、時に不幸なアニマルガールを食い、また乗り物やインフラ設備を破壊するやっかいなものだ。初めて出現した時には自衛隊まで派遣されたがなんらダメージを与えられなかった。結局、アニマルガールたちの活躍で退治されたのだ。
サイドワインダーがセルリアンを威嚇しながら、子供たちを先導する。
ジャガーは既に臨戦態勢だ。だが気負いはない。戦い慣れた雰囲気がある。先生たちが子供たちをバスに乗せる。出現したセルリアンは小型のものばかりだから、すぐに退治されるだろう。
ジャガーたちを置いて走り出したバスだが、すぐに立ち往生することになる。運転するラッキービーストがアワアワとフリーズしてしまったのだ。
「せんせー、あれ!」
子供たちが指をさす方を見ると、そこには先程のものより大きなセルリアンがいた。
「きゃあああ!」
セルリアンがバスに体当たりすると、バスはあっさりと横倒しになってしまう。
「みんな、大丈夫っ!?」
先生が子供たちに声を掛けるが、子供たちは泣きじゃくるばかりだ。セルリアンは一度下がって助走すると、再びバスに突っ込んでくる。
ガシッ。
黄色い影が、素早く動いた。あいちゃんだ。
あいちゃんの目は輝き、つきあげたその拳がセルリアンを受け止めた。
「うおおおおお!」
「あいちゃん!」
「がああああ!」
あいちゃんはそのままセルリアンを押し込むと、セルリアンを大木に叩きつける。だがセルリアンも触手を伸ばし、あいちゃんの腕を掴んで引き剥がしにかかった。
そのまま投げ飛ばされた身体は枝をバキバキと折り、傷だらけになるが、あいちゃんは怯まない。すぐにセルリアンに飛びかかっていく。それは幼児と思えぬ鬼の形相だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます