第2話 どうやら“おじさん”が好きらしい
お金に目が眩んで、夜の世界に飛び込むことに決めた16歳。
当時のわたしにとっては、お金を自分で稼ぐことの貴重性が輝かしいものに思えた。
とはいえ、くそ生意気な若造との会話を忘れたわけでもない。
「あの、わたしもしかしたら若い・・・というか、今時っぽい男性と話すのが苦手かもしれません・・・。どうすれば良いですか?」
不安を抱えつつ質問した私に、かずさんの答えは意外にも私を安心させるものだった。
「え?そうなの?助かる~!!若くなければいいんだよね?」
そう聞かれて、かずさんの意図もつかめないまま、そうかもしれないと答えた。
「みんなね、若い男じゃないと嫌っていうから、貴重だよー
今度、違う店で働いてみない?」
申し訳なさげに申告した私の欠点が、
やもや世間では利点にもなるのかもしれない・・・?
キャバクラ初体験の夜ながらも、かずさんとの会話の中から、“私の価値”を探していたような気もする。
当時、“キャバクラ”を知っていたものの、夜の仕事の細かい区分けを知ることもないわたしは、かずさんの進めるとおりに2回目の出勤を迎えた。
2回目のお店は、最初のお店とは全く違うお店だった。
田舎とはいえど、一応、繁華街。
ただ、とても小さいお店。
ボックス席2席とカウンター8席といった広さだったと思う。
今は冷静にその規模を見極めることができても、当時はもちろん、何も考えていなかった。
ただ、楽しかった。
そこでわかったことは、どうやら私は“おじさん”向きらしい。
母親と仲が良かったことが功を奏してか、80年代の歌を歌えることはプラスにとられたし、
「女は愛嬌」という母の言葉をまっすぐに受け取った私は、
“おじさん”受けがすこぶる良かった。
さらに、勉強好きな私は、
「もしかしたら私、向いているのかも・・・?」
と思ったときから、勉強をはじめた。
“人の心をコントロールする方法”
勉強してが試すことできる格好の場であることに気が付いた。
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