第十二話 ポートダーウィン空襲⑵

 攻撃隊は〇七四五にメルヴィル島上空で展開し、〇八一〇「ト」連送にて全軍突撃に移り、港内に碇泊する船舶及飛行場を爆撃した。

 淵田中佐はダーウィン上空から港内周辺を見渡した。校内には大小の船舶が在泊していたが、港湾施設は貧弱で、桟橋と多少の施設がある程度であった。近郊には大きな飛行場があったが、在地機は十数機が認められるのと、小さな格納庫が二、三個あるだけで、他に大きな施設も見当たらなかった。これでは、攻撃目標があまりにも少ないと思った。


 赤城の艦攻隊の第一中隊が目標に選んだのは、鉄道桟橋の両側に係留されている商船二隻であった。〇八二七八〇〇キロ爆弾を投下した。弾着を見ると爆発炎が見え、商船を水柱が取り巻いている。二隻共大破したと判断した。第二中隊は別にある大型商船に狙いをつけ爆弾を投下したが、こちらは命中弾はなく船首付近に至近弾を与えただけであった。


 加賀の艦攻隊は、第一中隊は官庁街を爆撃。第二中隊は海軍司令部および官庁街を爆撃。第三中隊は桟橋付近の商船を爆撃。商船の船尾に一弾命中、桟橋に一弾命中大破、至近弾により小型商船二隻撃沈と判断した。


 蒼龍の艦攻隊は、第一中隊が商船一隻を爆撃命中なし。第二中隊が商船二隻爆撃命中なし。第三中隊が兵舎を爆撃し大破した。


 飛龍の艦攻隊は、第一中隊が貨物船を爆撃し炎上沈没確実、第二中隊がタンカーを爆撃しこちらも炎上沈没確実を報じた。


 赤城の艦爆隊は第一中隊が駆逐艦一隻中破、商船一隻小破の戦果をあげ、第二中隊は商船二隻大破炎上、同一隻中破の戦果を挙げた。


 加賀の艦爆隊は第一中隊が飛行場を爆撃し、東飛行場の格納庫二棟を爆破炎上させ、さらに西飛行場の格納庫、兵舎無線方位測定所などを爆破した。第二中隊は五千トン級の商船一隻を撃沈し、さらに一隻を炎上させた。


 蒼龍の艦爆隊は第一中隊が駆逐艦一隻轟沈、一隻炎上、商船一隻炎上、重油タンク炎上の戦果をあげ、第二中隊はタンカー一隻炎上、飛行艇一機炎上、砲艦兵舎などを銃撃する戦果を報告した。


 飛龍の艦爆隊は一万トン級の商船一、七千トン級商船一を撃沈、乙巡一大破、他に七千トン級商船一、中型商船一に損害を与えたと報告した。

 

 制空・掩護の零戦隊は、赤城隊が空戦で戦闘機四機撃墜、地上銃撃により爆撃機四機炎上、四機撃破の戦果。加賀隊が空戦により戦闘機四機、飛行艇一機撃墜、飛行艇一機を地上銃撃にて炎上させた。蒼龍隊は空戦はなく、特設巡洋艦に対して銃撃を加えて損傷を与えた。飛龍隊は空戦により戦闘機一機撃墜、地上銃撃により大型機二、小型機二を大破。大型三、小型三、飛行艇二機を炎上させた。零戦は飛龍隊の豊島一一飛が被弾自爆した。だが、実際は対空砲火により被弾して帰還が困難となり、メルヴィル島に不時着して捕虜となった。


 空母「加賀」艦爆搭乗員の山川新作一飛の手記の中にポードダーウィン空襲の項があるので引用して紹介する。

『やがて静かな洋上にポッカリち濠州が浮かんで見える。

 わたくしたちの攻撃目標は、湾内に碇泊する艦船にあった。

 数十分後のおそろしさを知るや知らずや、ポートダーウィンは、いとも静かに眠っているように見える。

 飛行場の方向に爆煙があがりはじめた。上空に黒点がポカリポカリと見える。

 高角砲の炸裂だ。

「突撃隊形つくれ」

 編隊解散。

 湾の上空を大きく旋回開始。隊形は単縦陣、まず蒼龍の飛行機が急降下に移る。艦船およそ五十隻か?母艦や戦艦は見当たらない。軽巡らしい艦と駆逐艦一隻、他は輸送船のようだ。

 湾の上空にはほとんど高角砲はこない。ときどき思い出したように炸裂している。

 湾上の艦船は、次々と、黒煙、水柱、水柱に包まれていく。

 あわてて走り出す船。喰い下る攻撃隊。黒煙とともに消えていく船!

 この時、わたくしははじめて轟沈を見た。

 いままで盛んに砲火を打ちあげていた大型駆逐艦が軽巡らしい艦が、大火柱を噴きあげた。火柱の高さは二百メートルほどあったろうか。その上部が黒煙に変わったとき、火柱の消えたあとにはどす暗い油の波紋が残っているだけで、他には何ものも見えなかった。

 いよいよ加賀艦爆隊が最後尾を引きうけて急降下に入った。

 高度五、〇〇〇メートル。

「急降下に入る」

「目標、大型輸送船」

 愛機は逆落しに降下していく。船が照準器の中にどんどん大きくせりあがってくる。

 高度三、〇〇〇メートル、機銃の把柄をにぎりしめると、二挺の機銃から二条の尾をひいて、きれいに船にすいこまれてい

く。

 高度一、〇〇〇メートル。

 一番機の弾丸が舷側に水柱をあげ、二番機もまた同じところに水柱をあげた。

 わたくしの責任はいよいよ重い。

 高度四百五十メートル。どうしても命中させねばならないこの爆弾である。

 思い切って高度をさげた。

「高度三〇〇」

「テー」

 爆弾投下把柄を力一杯倒した。高度をあまりにも下げたので、速度がつきすぎて、急激な引き起こしに目先が真暗になり、目頭から星が飛び散った。

 力いっぱいに操縦桿を引いた。海面すれすれに機は水平にかえった。同時に、やっと眼が見えるようになった。

 振り返って弾着を見る。

 無念!舷側にあがる大水柱。

 しまった!

 規定の四百五十メートルで落とせば直撃するはずの弾丸が、投下高度を下げただけ前方に落ちた。

 やり直しのきかない一本勝負が、くやしくてならない。

 エイ糞ッ!とばかり、思いっきり操縦桿を引き、反転して銃撃に移った。

 船の直上を越す時、よく見ると、艦は三発の二百五十キロ爆弾を舷側すれすれにうけて、外鈑が破れたのか、傾いていく。止どめを刺すことはできなかったが、三発の爆弾で一船を沈めたわけだ。』

(山川新作著「急降下爆撃隊」丸エキストラ版第二十六集『艦攻と艦爆』所収、潮書房)

 加賀隊はこの爆撃で、第一中隊第三小隊長機の鶴飛曹長機が被弾自爆してしまう。


次に空母飛龍艦爆隊の板津辰雄二飛曹の手記を引用する。

 『真珠湾以来、しばらくぶりの大編隊だった。今回は雷装はなく、すべて八百キロと二百五十キロ爆弾である。

 高度四千メートル、視界は上々で、厚い断雲がところどころにあるが、水平線まで見渡せる。絶好の爆撃日和だ。右前方遠くスコールの壁が立っている。

 発進四十五分後、ポートダーウィンの手前、メルビス島上空で展開した。艦爆隊は各隊単縦陣となりながら、風上へと旋回していく。湾内には大型商船と貨物船十隻、それに駆逐艦数隻だけで、待望の空母はいなかった。

 飛龍艦爆隊の一番機小林道雄大尉が急降下に入って行った。目標は?駆逐艦だ。オッ、巡洋艦もいるようだ。攻撃は一時間で終了したが、湾内は炎上する商船、タンカー、早くも座礁した貨物船、ひろがる重油の輪などで、修羅場と化していた。陸地でも飛行場など数ヵ所から煙があがり、これが炎上する重油タンクの黒煙と上空で一緒になり、太いキノコ雲のような黒煙が青い空に三千メートル付近まで立ち昇っていた。飛龍艦爆隊の戦果は、撃沈一万トン級商船一隻と七千トン級商船一隻、大破乙巡一隻、ほかに七千トン級商船一隻と中型商船一隻に、相当の損害を与えたと判断された。』

(板津辰雄著「真珠湾からインド洋へ」丸別冊、太平洋戦争証言シリーズ⑧『戦勝の日々」所収、潮書房)


 一時間にも満たない攻撃で、湾内は炎に包まれた。飛行艇母艦のプレストン、駆逐艦ピアリーは蒸気をあげて動き出した。暗緑色の急降下爆撃隊は五〇度以下の角度から入れ替わり、立ち替わり、まるで爆撃標的でもねらうように落ち着き払って突入した。

 駆逐艦ピアリーは豪州病院船マタンダのまわりに煙幕を張ろうとして運動中、五発の命中弾を受けた。一発は艦尾張出部で爆発し、舵機室に浸水、第二発目は炊事室にあたり、火炎が同艦を包んだ。さらに缶室を貫通され、前部弾薬庫に命中して爆発し、最後のものは後部機械室を吹き飛ばし、四本煙突の旧式駆逐艦は両断されて沈没した。一人の砲員は足元の甲板が火炎にのみこまれるまで機銃を射ちつづけていたという。艦長以下八十名以上が戦死し、生存者五十二名中士官は一人だった。

 プレストンも爆弾三発を受け、艦長は爆風で艦外に吹き飛ばされてしまった。この艦は沈まずに、後刻ブルームまでたどりつくことができたので、ピアリーよりましだった。

 駆逐艦ピアリー(Peary,1190t)、哨戒艇マヴィ(Mavie,19t)、輸送艦メイグス(Meigs,7358t)、商船ネプチューナ(Neptuna,5952t)、貨物船ジーランディア(Zealandia,6683t)、マウナ・ロア(Mauna Loa 5436t)、油槽船ブリテッシュ・モータリスト(British Motoristm,6891t)、貯蔵船ケラット(Kelat,1849t),艀カラリー(Karalee,117t)など軍艦三隻と商船等六隻が沈没し、そのほかに三隻が航行不能。二十五隻が大小の損傷を蒙った。

 攻撃の規模に比べ、大きな獲物は少なかった。


 日本の攻撃隊を迎撃したのは、配置されていた僅かばかりのP40戦闘機であった。


 飛行場上空では、ペル少佐は第二編隊の五機に上空哨戒を命じ、自分の率いる四機は補給のため着陸した。上空の五機は二機ずつの編隊を組み、その上方を隊長のオイスライヒャーが飛んでいた。残った五機の戦闘機はペル少佐らが滑走路に着陸するのを眺めつつ、隊形を整えていた。それを終えたのは十時前だった。湾を横切り大きく旋回し、高度八〇〇〇フィートで哨戒に移った。隊長がそこでひょいと左肩の上の方を振り向くと、その上方約二〇〇〇フィートの地点に日本機が見えるではないか。翼に「日の丸」がついているのを確認した。

「ゼロ戦だ、日本機だ、ゼロだ」

 全く不利な状態であった。オイストライヒャーは、胴体タンクを落としながら急降下した。

 寝耳に水の奇襲を受けて、たちまち編隊はバラバラになり、もう隊形をつくるどころのさわぎではなかった。獲物を見つけた隼のように零戦が襲い掛かってきた。第一小隊のペレス少尉機は風に舞う枯葉のようにふらふらとなって、つぎの瞬間には真逆さまに湾内に落ちていった。

 第二小隊のウオーカー少尉は、肩を射抜かれてやっと滑走路にたどりついたが、追尾してきた零戦に射撃され、黒焦げになる前に、やっとのことで機を脱出した。ウイークス少尉も落ちていく機体からかろうじて落下傘で飛び降りたが、一〇マイル沖合の海上に着水した。腕時計は十時五分で止まっていた。

 五機のうちた隊長機だけが血路を開いたが、むらがる敵機の中に自分だけが取り囲まれているのに気づいて、南方の雲の中に飛び込み、急降下爆撃機を待ち伏せしてその一機を射ち落とした。

 飛行場では、レーダー装置がなかったので警報は鳴らなかった。ペル少佐がラジオをかけながら、格納庫のかげに休んでいると、いきない、オイルトライヒャーの「ゼロだ!」と繰り返す叫び声が受話器に飛び込んできた。静寂は破られた。見上げると日本機の大編隊が南方からまわりこみながら、刻々に機影を大きくして近づきつつあった。

 日本機群は一〇〇機以上はたしかにいた。高空には重爆らしい十八機の第一波が、翼に日の丸をつけ、明るい大空に銀色の機体を輝かせながら、桟橋の上を悠々と旋回していた。その下方にはくすんだ緑色に塗った急降下爆撃隊が飛んでおり、約三〇機の零戦隊はまっしぐらに飛行場に突っ込んでいった。

 ペル少佐は、いそいで飛行機のそばに駆け寄ったが、すでに敵機が上空に群がっていて、たとえ離陸してもとても太刀打ちできないことは明らかだった。だがペル少佐は、未熟なパイロットを率いて挑戦しようと決意した。湾内に落ちたウイークス少尉は首だけ海中から突き出し、重爆がたしかに五十機以上いたと勘定していた。

 五機のP40のうち、まず四機が離陸した。隊長機に続いたヒューズ少尉機は、滑走中に射撃されてもんどり打ってひっくり返り、機内で戦死してしまった。

 零戦三機に追いかけられたペル機が、やっと八〇フィートの高度に達したとき、その機体は燃え出した。彼は落下傘で飛び降りたが、地面に着く直前に傘は開いた。一分間、彼は動かず、地面に激突して死んだようだった。間もなく、彼はゆっくり起き上がって痛そうにはい出した。防空壕内の兵隊が飛び出して助けようとしたが、動き出したペルには日本機の射弾が集中した。射撃がすんだとき、蜂の巣のようになったペル少佐はもう動かなかった。

 マクマホーン少尉機が、かろうじて九〇〇フィートの高度をとったとき、宙返りをした零戦が追いかけてきて一撃で撃墜してしまった。彼は落下傘で飛び出し、両脚をいためただけで、地面に降り立った。

 ライス少尉とグローバー少尉の両機はうまく上昇した。彼らは離陸するや否や、急旋回を行ったが、ライス機は急上昇と急降下を繰り返して敵機をまき、五〇〇〇フィートまで上昇した。彼は零戦隊の先頭機に突入しようと急旋回をやってみたが、操縦が自由にならぬことがわかり、ついで機は錐揉みに入ったので、落下傘で飛び出した。

 だがその時、額を強くぶつけて目が見えなくなった。落下傘にぶら下がりながら、はじめ意識を失い、やがて回復したが、日本機二機に攻撃されているのは見えなかった。僚機のグローバーが救援に来てくれなければ射殺されていたにちがいない。

 グローバー少尉機は、離陸直後、一機の零戦がライス機を追尾しているのを認め後方に忍びよって射撃を加えた。彼はその零戦を撃墜したと信じているが、公認されたかどうかわからない。彼は自分につきまとう敵機をふりはなしたが、急いで高度をとっているとき、零戦がライス機を取り巻いているのを認めたので上昇をやめ、ライス機の落下傘のまわりを小刻みに旋回しながら敵機のなかに割り込んだ。

 高度で操縦性の高い零戦との格闘戦は自殺にひとしいので、地上の友軍は手に汗をにぎりハラハラしながらも見守っていた。高度三〇〇〇でグローバー機は案の定、とつぜん錐揉みになって落ち始め、矢のように落下した。

 もうおしまいだと思ったが、最後の瞬間に機は水平にもどり、飛行機の端にぶつかり、ひっくり返ってバラバラになった。モウモウたるほこりが静まると、グローバーが残骸から這い出し、起き上がって歩き出した。とにかく彼はライスの生命を救い、自分も命びろいした。

 P40戦闘機は何ら抵抗らしき戦闘もなく壊滅してしまった。

(「米空軍を翻弄したZERO」丸エキストラ版第三十八集『空戦』潮書房)より


 空母機による攻撃が終わったと思ったら、次は陸攻隊により爆弾の雨が注がれたのである。


 一空  九六式陸攻 二八機 六〇キロ×三一八発

 指揮官 尾𥔎武夫少佐 

 第一中隊  尾𥔎少佐直卒 七機

 第二中隊  福岡規男大尉 七機

 第三中隊  金子義郎大尉 七機

 第四中隊  野中五郎大尉 七機


 〇六四〇アンボン基地発進、一〇四〇爆撃開始。

火災二ヶ所、地上大型機三、小型機三撃破。


 鹿屋空 一式陸攻  二七機 二五〇キロ×一、

                六〇キロ×二一二発

 指揮官 入佐俊家少佐

 第一中隊  入佐少佐直卒  九機

 第二中隊  森田林次大尉  九機

 第三中隊  田中武克大尉  九機


 〇六三五バリックパパン発進。一〇四一爆撃開始。飛行場格納庫炎上、大型機二炎上、同二爆破、小型二爆破。


 赤城隊は帰還の途中一〇〇五時に敵輸送船を発見し、機動部

隊宛に連絡した。


『敵輸送船一隻見ユ 「ダーウィン」ノ三五〇度距離一二〇浬針路二九〇度速力一六節』


 南雲長官は第八戦隊に対し、発見した輸送船に触接するよう命じ、利根と筑摩はそれぞれ各一機の水偵を発進させ、利根機は同船を発見し、味方艦爆隊を誘導した。

 攻撃に向かったのは二航戦の「蒼龍」「飛龍」の艦爆隊で、

蒼龍隊は池田正偉大尉が指揮する九機で、各二五〇キロ爆弾一搭載。飛龍隊は山下途二大尉が指揮する九機で、各二五〇キロ爆弾一を搭載し出撃。

 この二隻はフィリピンコレヒドール島に軍需品を送る商船で、ドン・イシドロ(三二六一総トン)とフローレンス・D(二六三八総トン)であった。ドン・イシドロには七六ミリ高射砲弾薬が積み込まれ、フローレンスには野砲連隊と百オクタンのガソリン等が積まれた。

 しかし、隠密行動の所を偶然にも南雲機動部隊に発見され、攻撃を受けた。一騎当千の機動部隊の艦爆隊の攻撃を受けては逃げる術もなく撃沈され、救援物資の夢は断たれた。

 

 南雲長官は十九日二四三〇戦果を打電した。

一 第八戦隊水偵を以て天候偵察の上十九日〇八三〇予定の如く「ダーウィン」

 攻撃を実施せり

 〇八二五敵双発飛行艇に発見せられ之を追撃せるも南方に逸す

二 戦果

 ㋑ 飛行機撃墜 大型一、小型一〇、銃撃炎上大型四、小型三、飛行艇三、銃

  撃破壊大型二、小型三、計二六機

 ㋺ 艦船撃沈 輸送船八隻、駆逐艦二隻、駆潜艇一隻

   大破 駆逐艦一隻

   右の外病院船一隻、小型若干ありしも攻撃せず 湾内に空母、潜水艦を認

  めず

 ㋩ 陸上諸施設 東西両飛行場格納庫全部(三棟)、兵舎一棟炎上、官庁街、

  海軍司令部及付近一帯建築物並に繋留桟橋爆砕、市街北東端兵舎爆破炎上

 ㋥ 第二航空戦隊艦上爆撃機(一八機)及第八戦隊水偵?機

  一五〇〇「ワークロイ」岬北方を遁走中の六、〇〇〇屯級特設巡洋艦、

  一、〇〇〇屯級輸送船各一隻に対し二次攻撃を実施し輸送船を撃沈、特設巡

  洋艦を航行不能に陥らしめたり(同艦には二五番通三弾直撃炎上せるを以て

  後刻沈没せるものと認む)

三 被害

 加賀艦爆、飛龍艦戦各一機自爆壮烈なる戦死を遂げたり

四 所見

 ㋑ 敵は戦意極めて薄弱

 ㋺ 防御砲火は前記自爆機の外 高度三、〇〇〇米の水平爆撃に於て被弾若干

  の程度にして特に優秀と認め難し

五 本行動中十七日〇九三〇 二度三〇分N 一二七度二六分E に於て潜没潜

 水艦一を発見制圧せり


 日本側の空母機の損害は、加賀の艦爆一機と飛龍の零戦一機を損失したが、それ以外に、蒼龍の山田隆一飛曹、船崎金二一飛曹のペアが海上に不時着して救助されている。ウィクペディアによると、艦攻一機が不時着して救助されている記録が見つかったとされているが、行動調書にはそれらしき記述が見つからないので、どの艦の機で誰なのか不明である。


 空襲を終えた機動部隊は予定通りスターリング湾に向かい二月二十一日入泊した。

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