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 ランチタイムになって、弘務と茜は佑介の机のところにやって来た。前と横の机をよせて即席のダイニングテーブルを拵える。佑介はランチボックスより先に昨日パソコンでプリントアウトしたものをふたりの前に差し出す。

「茜、弘務がさっき話したと思うんだけど、なぜかこういう結果になってしまって、オレを助けると思って協力して欲しいんだ」

「もちろんよ。友だちが悩んでるのに協力しないなんて私にはできないから」

 茜はくるりとした目をきらきらさせながら、A4の用紙を受け取っていった。

「オレ、昨日、夜遅くまで必死で解読しようと頑張った。でも佑介には悪いけど、結果だめだった」

 赤い色のウインナーを齧りながら弘務は申し訳なさそうな顔をした。

「いま見たばかりだからよくわからないけど、弘務みたいに途中で投げ出さないからね」

「い、いや、別に放棄したわけじゃないから、誤解しないでくれよな」

「わかってるよ」

 佑介は玉子巻きを箸で刺して口に放り込んだ。

 早々にランチをすませ、資料を手にして話し込んでいた時、クラスの天田沙穂里が3人の横を通りかかって、資料を覗き込むようにしながら、

「ああ、また3人して、なにかたくらんでるゥ」と、茶々を入れる。

「そんなんじゃないわ。いまねえ、私、都合があって学級委員を辞めようと思ってるの。そうだ、天田さん、あなた私の代わりにどう? あなただったらきっと上手くクラスをまとめてくれそうだわ」

 と、茜が咄嗟に沙穂里にいい返した。

「ああ、ムリ、ムリ。あたしそういうのだめだから他の人にあたってみてよ」

 沙穂里はそういい残すと、逃げるように立ち去った。

「茜、本当に学級委員辞めるのか?」

 弘務が真剣な顔になって訊く。

「ばかねえ、嘘に決まってんじゃん。彼女は好奇心旺盛だから、このことを知ったとしたら、明日の朝にはクラス中に佑介へ届いたメールのことが知れわたってるわ」

「確かに」と、佑介。

「じゃあさあ、ここだとまた邪魔が入るといけないから、放課後にどこかで待ち合わせをしない? 私ももう少し詳しく話を聞きたいから」

「いいけど、部活どうする? 茜、テニス部のキャプテンだろ?」と、弘務。

「こんな大事な時に、のんびり部活なんかやってられないでしょ。 そこはキャプテンの特権でなんとかするから心配しなくていいわよ」

 どうやら負けず嫌いの茜に火を点けてしまったようだ。

すでに茜は誰にも止められないくらい走り出してしまっている。

「オレだってそうさ。佑介のために部活をしばらく休むことにした。オレの場合は、膝を捻ってしまって歩くのも思うようにならない、っていってやった」

 弘務も茜に負けないように力を込めてアピールする。

「サンキュ。持つべきものは友だちだよな」

 佑介は一段と力が湧いてきた気がした。

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