第二巻 第十話
第十話
この時、牢屋の内外では、空気が同時に震え、穆炎は蔡允をつれて離れようとした。
「ガタン。。。」という音が聞こえた。これは牢屋からの音だ。穆炎は消えなかった。
穆炎:「これはどういうことだ!!?」
穆炎は目を閉じて再度試しようとしたが、相変わらず「ガタン。。。」という音がした。それは蔡允の手をはめている手錠が鉄の欄干にぶつかった音だ。その音が広い牢屋の中で響き渡った。
穆炎は驚いた。これは普通の鉄の欄干じゃない!蔡允を閉じ込めた牢屋は、なんと結界が張られているのだ!
穆炎:「この結界を作ったのは、妖怪かそれとも仙人か?なんのために張ったのか?」
穆炎は様々な疑問を持っていたが、時間ぎりぎろで、もう時間がなかったので、すぐ鉄の欄干のそばに瞬間移動して、頭をさげ呪文を唱えながら、鉄の欄干に手を伸ばした。
「ズズズ。。。」炎が穆炎の指先から腕まで蔓延した。
穆炎:「あら!!!」穆炎は痛くなって、すぐそばに跳んで精華で自分の体を守った。
穆炎:「これは。。。。畜生!これは妖怪が張った結界ではないのだ。これは妖怪を退治するためのものだ!」穆炎は息を吐きながらぶつぶつ言った。
「そうだ。その通りだ。」突然、牢屋の前の地面から一人7歳、8歳らしい少年はゆっくり浮いてきて、穆炎の目の前に立っていた。
穆炎:「あなた。。。。あなた様は。。。?」この少年を見て、穆炎は心から疑問が生まれたが、尊重する呼び方で呼ぶようにした。
少年:「わたしは長安の土地だ。昨日、皇帝様がこの人を殺せという命令を出したので、この結界が張られた。神様も、鬼も防ぐことができる。」
穆炎は呆気にとられ、何も言えなくなった。「そうだね。。。もし皇帝様は殺したい人がいれば、おそらく三つの世界では阻止できるものはないだろう。この土地も救えないかもしれない。」と心の中で思った。
だけど、その蔡允は、蔡家族の一人っ子なので、今日は首が切られたら、今後蔡家族の子孫がもうこの世にはいない。こう考えると、穆炎は倒れそうになり、しばらくぼうっとしていた。
しかし、穆炎は諦めようとしなかった。「この皇帝様の命令はこんなにものすごいものだったら、むしろその皇帝様の心を惑わし、命令を取り戻させたほうがよいかもしれない。」ここまで思うと、穆炎はすぐ礼をし、その少年と別れようとした。
その少年は賢くて、ゆっくり話した。「これはいけない。皇帝様の心は四つの金剛によって守られているので、潜み入るどころか、いったん金剛に見つけられたら、命までなくなるよ。おそらく粉々になるかもしれない。」
穆炎は礼をしている途中で、これを聞くとすぐ体が固まった。「わたしは蔡家族を守る神様で、蔡家族には前世に命を救われたので、死んでも蔡家族の世世代代に恩返しすると誓いました。人を救うために、どうか教えてください。お願いします。」
穆炎は心をこめて前に両膝が跪いて、手足と頭が地面に叩くようと礼をした。
少年:「こんなの御礼をしなくてもよい。」その少年は慌てて手をあげ、空を隔て穆炎を助け起こした。
少年:「天地の間、皇帝様の命令を阻止できる人はいないわけではない。ただし、払う代価が大きすぎるので、やる人はいないだけだ。」少年は微かに微笑んだ。
穆炎:「払う代価が大きすぎるので、やる人はいない?!」
少年:「神様だろうが、妖怪だろうが、皇帝様が殺したい人を救う方法は、一つしかない。」少年は穆炎をちらっと見て、言い続けた。「それは、最初の形に戻すことだ。つまり、神様だったら、人の形に戻す、妖怪だったら、本来の姿に戻す。あなただったら。。。」
穆炎の金色の瞳は一瞬、大きくなった。
少年:「800年前の自分の姿をまだ覚えているのか?」
穆炎は頭をさげて答えなかった。それから、ちょっと首を垂らして、消えた。
南京福徳宮のガーデンには、空気が震え、穆炎は現れた。
南京土地、だらしないおじさんは庭に花に水をやっているところ、穆炎のテレポーテーションの動静に気付いて思わず驚いて振り向いた。
だらしないおじさん:「どういう風の吹き回しか?」
穆炎は普通のように話したら笑ったりせず、頭をさげ前に一歩踏み入れ、両膝が地面に跪いた。こ彼にとって今日中に跪いたのは二回目だ。800年以来これで2回目だ。
だらしないおじさんは、慌てて後退りした。「これはだめだ、だめだ。。。」
穆炎:「わたしはもうこれ以上方法がないから、ここ二百年付き合ってきた交情を考慮して、なんとかわたしの一生の願いを叶っていただくようお願いします。」
だらしないおじさん:「一生の願い!?あなた自身は?」
穆炎:「もう時間はありませんので、約束してください。わたしの代わりに、ある人をちゃんと面倒を見てください。」穆炎はいらいらした。
だらしないおじさん:「よしよし。蔡允?!それとも恒诺雲?」だらしないおじさんはさすが穆炎の最も親しい人で、また唯一の友達だ。
穆炎:「恒诺雲」
だらしないおじさん:「これは。。。?」
穆炎:「蔡允は皇帝様に首を切られろと命令されました。わたしはもし彼を救ったら、あっという間に蛇の形に戻されてしまいます。800年の修行も煙のように消えてしまいます。しかし、诺雲、彼女はどうしますか。。。あなたは、彼女には、わたしが狼に襲われ、重傷で死んでしまったことを教える必要があります。それから、他人に苛められないように、彼女の安全を守るようにお願いします。」
だらしないおじさんは厳しそうな顔をして、穆炎が話したことを深く考えていた。「だけど、あなたは狼に襲われる可能性があるものか?襲われても死ぬことはないよ。これは彼女もはっきり分かっていると思う!」
その通りだ。だらしないおじさんの言った通りだ。诺雲は、穆炎が妖怪であることを知らないが、七カ国の戦乱を経て、また二人が匈奴と付き合ってきたこの数年間の間で、穆炎の武芸を十分知っている。人であろう、動物であろう、みなすこしも穆炎に傷をつけることはできない。だから、この点においては、诺雲が知っていることはだらしないおじさんより少なくない。
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