第二巻 第九話

第九話


王様はちょっと考えた。「そうか、あの手紙か。わたしは彼たちの中の一人に周亜夫に会いに来させた。しかし、その後、蔡允は確かに来た。つまり、彼たちは確かにこの手紙を受け取った。」

曾瀚:「しかし、当時、恒将軍はこの手紙をもう知っているので、司馬としての蔡允はなぜ容易く城を出られたでしょうか?!」

王様の目が輝いていた。「そうだ、曾瀚の言った通りだ。その時、手紙がばれたので、城を出た人は皇帝様が恒将軍のそばに置いたスパイに違いない。これは言うまでもない。では、その後の丹徒城の戦いでは、蔡允は生きて戻れたのは、おかしいことだ。」

曾瀚:「丹徒城の戦いの中で、わたしは城楼で恒将軍を殺そうとした時、周りには他の人はいませんでした。」曾瀚は付け加えた。「わたしがはやく逃げなければ、とっくに蔡允に殺されただろう。」

王様は目を細め、遠くを眺めた。「守衛の穆隊長は武芸がものすごい。彼は死んだか、それとも生きているか、知っているのか?」

曾瀚:「丹徒城の戦いの後、穆炎の知らせがありませんでした。この人は、突然消えたようです。」

王様は眉をしかめた。「穆炎は蔡家族の大臣であり、口数が少なく気持ちを察しにくい。もし蔡允は呉国に投降したとすると、穆炎はきっと知っている。しかし、いま何も情報がなくて、蔡允も知らないと言った。これはおかしい。」と思った。

王様:「先に下がれ。」

曾瀚:「はい、かしこまりました。」曾瀚は叩頭の礼をして、出ていった。


当年、蔡允が羊皮を盗んだ当日の夜

蔡允:「つまり、王様が書いたあのものは、いま。。。。恒将軍の手にあるのだ!?」蔡允は思わずどもるようになった。

穆炎は遠方を眺め、目を細くした。


恒将軍の書斎

暗さの中で、空気が震え、穆炎は現れた。

穆炎:「王様が羊皮の上に手書きしたものです。」穆炎は眉をしかめ低い声で言った。一巻の羊皮が一つの掛軸からひらひらと漂ってきた。

穆炎は、「二人の内の一人は、将軍に会う?」と読んだ。開いて読み終えると、穆炎は指で弾いたら、羊皮は元の位置に戻った。


蔡允の兵営のテント


空気が震え、穆炎は戻ってきた。

穆炎:「王様は、我々の中の一人に、周亜夫大将軍と会わせようと命令した。情報によると、彼たちは、いま梁国の北の昌邑に兵舎を設営してある。わたしは、そのところに行ったことはない。あなたは方向を知っているのか?」


蔡允:「駆け馬に鞭だったら、半日でつけられる。」蔡允は頷いた。

穆炎:「道が知らないから、テレポテ-ションができないが、あなたと馬を城の外に移すように瞬間移動ができる。その後、帰る前に、鈴を振ってわたしに知らせることを忘れないで。」

穆炎は言い終わると、左手を振った。

蔡允は頷いた。「だけど、この時、兵営の中でわたしの姿が見えなかったら、恒将軍はきっと疑う。わたしはどのように一日中、離れるのか?」

穆炎:「これは簡単だ。」穆炎は勝手にベッドの上にある枕を指差して、プトンという音がして、目を閉じたぐっすり寝ている蔡允は目の前に現れた。




匈奴の域内、いま内モンゴルのオルドス草原の朝

淡い紫色の煙がまるで地下から浮き出たようで、一面に広がった青草の上に立ちこめている。一つの鷹が遠くから、飛んできて穹庐(いまの内モンゴル)の上空をぐるぐる回りながら、鳴っていた。穆炎は眉をしかめ、目が覚めた。

これは蔡家族の鷹だ。穆炎は中原を離れてもう1年近く経ったが、蔡允から何も連絡が来なかった。いま、彼は漢の朝廷でトントン拍子で出世しているかもしれない。なんで今日は手紙を送ってきたのか?

不安が一瞬、穆炎の心を走った。案の定。

鷹の足から外した紙:「皇帝様は今日、国を裏切り敵に内通する罪で蔡家族を差し押さえるようと命令した。蔡允も牢屋に閉じ込められた。三日後に首を切られると言い渡された。速く助けに来て!」

穆炎:「三日後。。。」頭をさげて日付けを見たら、今日だ!

穆炎は眉をしかめ目を閉じて、消えた。


長安の牢屋

蔡允は血だらけになって牢屋に倒れており、意識不明だった。

牢屋の外にいる二人の看守は、机を囲んでしゃべっていた。

甲:「ねえ、この蔡允は本当に大胆だねえ。呉国では恒将軍の前では大変な人気者で、帰ったらまた王様にお世話になって、周大将軍の下に加わりトントン拍子で昇進した。もし曾瀚が戻ってこなければ、どれほど出世できるかわからないね。」

乙:「そうだね。。。。これは、両方に憎まれてない、両方に人気があるということだね。曾瀚がいなければ、蔡允はこの一生、きっとトントン拍子で出世するだろう。」

二人が話しているうちに、突然目の前の空気が震え、なんと一人の匈奴の大男が現れた!金色の目が怒っており、言えないほどの恐怖と威厳があった。

甲乙:「あ!!!。。。」二人は足ががたがたして、二人とも跪てしまった。

甲:「殿。。様。。殿様、命を許してください。」穆炎は微かに瞬きしたら、二人は昏倒した。

穆炎は振り返って牢屋に倒れている蔡允を見て、ため息をついた。「その曾瀚は、なんと王様の人だと思わなかった。。。」それから、穆炎は思いを集中して蔡允を空に上げて、目を閉じた。

穆炎:「この様子だと、漢にはあなたがいる場所がないのだ。我々は行こう。」

この時、牢屋の内外では、空気が同時に震え、穆炎は蔡允をつれて離れようとした。

「ガタン。。。」という音が聞こえた。これは牢屋からの音だ。穆炎は消えなかった。

穆炎:「これはどういうことだ!!?」

穆炎は目を閉じて再度試し用としたが、相変わらず「ガタン。。。」という音がした。それは蔡允の手足にかかった足かせが鉄の欄干にぶつかった音だ。その音が広い牢屋の中で響き渡った。

穆炎は驚いた。これは普通の鉄の欄干じゃない!蔡允を閉じ込めた牢屋には、なんと結界があるのだ!

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