第二巻 第八話
第八話
蓬莱公園の木の上
千守は一人でしょんぼりと木の枝に座っていた。
千守はさきほど、雲知の家の前で穆炎が怒鳴ったことを思い出した。
「不可能?前世、もしわたしは自分を犠牲してあなたを救わなかったら、わたしは诺雲とちゃんと匈奴で一生を過ごせたのに!二千年前のわたしは思い切ってやれたかもしれないが、今回こそ、もう譲らない。雲知のこの一生を無駄にすることもない。昔、わたしはとっくに命を捨てた。今後、あなた蔡家族と、もう何も関係がない!」
千守は「ええ。。。。」とため息をついた。千守はチベットの松賛乾寺前にある湖の岸辺で、見た銅の鏡の中の情景を思い出した。
長安王様宅 応接間
蔡允は王様と周亜夫大将軍の目の前に跪いて命令を受けていた。
王様はげらげら笑ったのが聞こえた。「お二人が鷹を通じて、呉軍の食糧倉庫が淮南東陽にある情報を速やかに知らせたおかげで、周将軍は呉軍の糧を断つことができた。これは大きな功績だ。穆炎が戦死したのは残念だ。二人の功績をあわせて表彰したい。今日から、周亜夫大将軍の下の中護軍という職務を担当しなさい。将軍にはやく礼をしなさい。」
(注釈:中護軍は皇帝の軍隊総括に相当する職務)
蔡允:「はい。王様の引き立て、ありがとうございます。」蔡允は王様に御礼をした後、また振り向いて周亜夫大将軍に御礼をした。「大将軍の引き立て、ありがとうございます。礼をさせていただきます。」
周亜夫はげらげらわらった。「蔡允のコンフがものすごいと聞いているので、後日、わしとやってみないといけない。」
蔡允:「それは恐れ入ります。」蔡允は頭をさげた。
西域の匈奴域内
夕陽が草原に照らし、穆炎と诺雲は西域の服装を着て、馬に乗って肩を並べながら草原を散歩していた。馬の近くの前に、雲のような白い羊群れが連綿と続いている。诺雲の顔はとっくに草原のまぶしい日ざしに照らされ、真っ黒になったが、彼女の美しさが隠せなかった。一方、穆炎はもう髭ぼさぼさで、輝いた真っ黒な目には、诺雲の優しい横顔が映されていた。二人はにこにこしながら、馬に乗っている姿は、もう草原上の幸せなカップルになったようだ。
長安王様宅 門前街
王様はかごに乗って出かけていたところ、服がぼろぼろの乞食がかごの前にダッシュして跪いて叫んでいた。「呉国で蔡允の部下である曾瀚は、わが軍に捕虜され、国に戻ったので、わたしの命を助けるよう、王様にお願いします!」
かごの前にいる守衛は元々離れさせようとしたが、これを聞くと、みな思わずぼっとうしていた。
それから、振り返ってかごの中の動静を待っていた。
王様は暖簾をめくって、「頭をあげろ」と言った。
曾瀚は頭をあげた。王様はにっこり笑った。「本当に曾瀚だ」
蔡允はかごの傍の馬に乗って、眉をしかめ、曾瀚を見下ろした。
七カ国の戦乱の最後の戦い、丹陽城内の城楼の頂上
蔡允は、城楼の下で将軍を探しまわっており、ふい頭を見上げたら、城楼の頂上に欄干によりかかり眺めているのが将軍じゃないと気付いた。彼はあわてて階段に上がった。速いスピードで楼の頂上まで登って、頭を下げると、地面上、刀をもって将軍の後に立っている人影が、チャンスを睨んで手を出そうとした。
蔡允は「しまった!」と思って、すぐ刀を抜き先方の喉をひっかけようとしたが、その人はかかってきた勢いに対抗せず、力を使って後ろに跳び、振り向いて楼から下りて、逃げて行った。
蔡允は、前に走って下を見下ろしたが、その人の姿がもう消えてしまった。恒将軍もこの時、振り返って襲った人の後ろ姿を見た。「その人は、わが呉軍の服装を着ている。だれかはっきり見えた?曾瀚のか?」
蔡允は、将軍がこのように話したのを聞いて、驚いた。「はい。将軍はなぜ知っているの?」
将軍:「この人は皇帝がわたしのそばに置いたスパイだ。わたしはとっくに知っている。」
蔡允:「皇帝様が派遣したスパイ?」蔡允は驚いた。
王様の書斎の中、曾瀚が王様の前に立って呉国で見聞きしたことを報告していた。
曾瀚:「命の危険を冒しても、王様に報告いたしたいことがございます。」
王様:「言え。」
曾瀚:「わたしは、丹徒歩城の戦いの中で、恒将軍を殺すチャンスがあったが、一人に阻止されました。その人がなんと手を出して、将軍を救ったのを見た時、びっくりしました。」
王様:「だれ?」
曾瀚:「蔡允」曾瀚は頭をさげた。
王様:「見間違えてない?」
曾瀚:「絶対見間違えることはない。わたしは、わざと蔡允を陥れていないことを、ぜひ信じてください。実は、またもう一つおかしいと思うことがございます。将軍はもし信じなければ、呉国の捕虜に尋問してください。」
王様:「いったいどういうこと?言え。」
曾瀚:「恒将軍の手には、羊皮に書かれている匈奴の言葉の手紙がありました。呉王様が派遣した匈奴捕虜の解読によって、皇帝様が恒将軍のそばに二人のスパイを置いたことが、既に知られています。」
王様はちょっと考えた。「そうか、あの手紙か。わたしは彼たちの中の一人に周亜夫に会いに来させた。しかし、その後、蔡允は確かに来た。つまり、彼たちは確かにこの手紙を受け取った。」
曾瀚:「しかし、当時、恒将軍はこの手紙をもう知っているので、司馬としての蔡允はなぜ容易く城を出られたでしょうか?!」
王様の目が輝いていた。「そうだ、曾瀚の言った通りだ。その時、手紙がばれたので、城を出た人は皇帝様が恒将軍のそばに置いたスパイに違いない。これは言うまでもない。では、その後の丹徒城の戦いでは、蔡允は生きて戻れたのは、おかしいことだ。」
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