第二巻 第七話

第七話


李雲知の家


雲知は物置き場の外に立って、ぶつぶつ言った。「こいつは字が読めない。。。況して、わたしが彼に教えたのはあのいくつかの繁体字だから。。。」こう言いながら、いらいらしてヘアを掻いて、物置き場に入りこんだ。


雲知:「絵を見て、字が分かるという本があったと思う!ええと。。。後は、子供読み物、唐詩300首!」

雲知は本の山に没頭して捜し始めた。


空気が震え、雲知の後に現れた穆炎は、思わずにっこり笑った。それから、彼は手まねをして「絵を見て字が分かる。。。子供読み物、唐詩300首」と呪文を唱えた。そうすると、雲知の後にある本の山は、動くようになり、その中から、二冊の本は浮かんできて、音も立てず雲知のそばに飛んできた。「パ」と地面に落ちた。


音を聞いて、雲知は慌てて振り返って見たが、二冊の本は静かに自分の足元に寝ていることに気付いた。頭をあげて周りを見回したが、何もなかった。


雲知は、「先ほどわたしが入った時、あなたたちはもう地面に寝ている???」と独り言をいった。


穆炎はこの時、雲知の目の前に立って、彼女をにこにこしながら見ていた。残念ながら、雲知は見えなかった。


雲知はちょっと考えて、どうもおかしいなあと思って、ふい立ちあがって台所に駆けていった。勿論、何もなかった。彼女はまた、応接間に駆けて行ったが、相変わらず暗くて、何もなかった。雲知は目を丸くして、低い声で「穆炎!」と叫んでみた。


穆炎は驚いた。


雲知:「穆炎?!。。。あなたなの?あなたはいる??」雲知は低い声でもう一回叫んでみた。


穆炎は雲知をぼんやりと眺めて、現れようとしたが、釘付けされたように、全然動けなかった。


穆炎:「雲知はわたしに感情を抱いてくれたか、それともただ、明らかに人じゃない存在に対して、興味を持っただけなのか?」


穆炎は、目の前にいる雲知は、あくまでも诺雲と違うこと、はっきりわかっている。小さい頃受けた教育も違うし、感じ取った感情も違う。況して、殆どの現代人は古代と違って、感情に対してそんなに単純ではなくなり、多くの雑念を持っている。「ひょっとすると、わたしはもうちょっと待ったほうがよいかもしれない。」穆炎は心の中でこう思った。


暗さの中で、二人とも動けず静かに待っていた。


雲知は穆炎からの回答を待っていた。一方、穆炎はただ、雲知の反応を眺めるだけだった。


しばらくたったが、部屋中に相変わらず音はしなかった。


雲知:「ええ。。。」雲知は悶々として自分の部屋に戻った。「だけど、わたしは入った時、本当にこの二冊の本がなかったのよ。本が本当にそこにいたら、わたしはわざわざ探す必要はない。」雲知はその二冊の本が自分で出てきたと、固く信じた。


雲知:「もし夢の中のことはすべて本当のことだとしたら、あの穆隊長は人じゃない。」雲知はふと足を止め、暗さの中でこう考えるようになった。「特に、彼にこんなに親しい感覚を持っている。夢の中の情景は遠い前世のことだったら、彼はいったいわたしの何者かしら?」


穆炎:「あなたが愛している人だ。」穆炎は暗さの中で、雲知が聞こえない音の周波数で、小さい声で答えた。



蓬莱公園の木の上


千守は一人でしょんぼりと木の枝に座っていた。

千守はさきほど、雲知の家の前で穆炎が怒鳴ったことを思い出した。

「不可能?前世、もしわたしは自分を犠牲してあなたを救わなかったら、わたしは诺雲とちゃんと匈奴で一生を過ごせたのに!二千年前のわたしは思い切ってやれたかもしれないが、今回こそ、もう譲らない。雲知のこの一生を無駄にすることもない。昔、わたしはとっくに命を捨てた。今後、あなた蔡家族と、もう何も関係がない!」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る