第二巻 第六話
第六話
李雲知の家
雲知:「もういい!千守!あなた達はこちらに補習しに来たのだから!これ以上余計なことを言ったら、出ていけ!」雲知は千守には怒った顔をしていた。
千守は雲知をぼんやりと眺め、これ以上何も言わなかった。穆炎はそばで、目が笑ったように、また笑ってないように見える。
応接間の外で、お父さんは穆炎をぼうっとして見て、「穆炎。。。」とぶつぶつ言った。
そばにいる雲燦は心の中で驚いて、思わず振り向いて、「お父さんは彼を知っている?」と聞いた。
お父さん:「いいえ、違う。。。ただ見慣れたような感じがした。」お父さんの頭に、夢の中で、自分が胸を刺された時、目の前に浮かんだ穆炎の顔が現れた。穆炎が大きな声で「将軍!」と叫んだのが聞こえ、それから自分を抱きしめた。お父さんは、気分が重くなった。そばにいる雲燦も、眉をしかめ、穆炎と蔡千守の言動を注目していた。
応接間の中
雲知:「前回授業の始まりから、さかのぼって、話しましょうか。まず、37ページをめくってください。阿房宮赋。」
穆炎と千守は、黙々と37ページをめくった。
雲知:「これは、暗誦するところがある。木曜日に抜き取りで書き取り検査をやる。暗誦する段落にアンダラーインをつけてください。「一人の心は、千万人のこころである」ところから、最後まで、すべて暗誦しなければならない。」雲知は言った。
千守は穆炎を妙にちらっと見て、本を持って静かに椅子の背中によりかかり、それから筆をもって、この二段落の前後に括弧をつけた。こうしたら、穆炎は彼がどこに印をつけたか、見えないから。
案の定、穆炎はぼんやりと目の前の文字を眺めるばかりで、全然わからなかった。
雲知は、穆炎が頭をさげ迷っていたところを見ると、「しまった!これでばれるか!」と心の中で思った。彼女は急いで体を穆炎に傾けて、すばやくあの二段落をつけてあげた。
穆炎:「あら、ありがとう!」穆炎は感激の至りだ。
雲知は涎を一口呑んで、「遠慮しないで。帰ったら、暗誦を忘れないでください。何か問題があったら、わたしに聞いてください。」と低い声で言った。
千守はそばにいて、不思議そうな顔をして雲知の反応を見ていた。
穆炎:「はい。必ず聞きに来るから。」穆炎は千守の怒りを無視して、雲知を見るばかりだった。
雲知は頭をあげる勇気がなかった。穆炎が目の前に立つのをこの目で見た一瞬、彼女は、夢の中の穆隊長がおそらく本当のことだとわかった。穆炎は夢の中のように、眉と目が荒々しいが、親切な人だ。話しているうちに、距離感がない。数日前に、自分の手に落ちた羊皮を思い出すと、なんだか寒さが心を走り、心臓はずきんずきんしてきた。彼女は思わず眉をしかめ、体を机の前にちょっと傾けた。
穆炎と千守は同時に、雲知の異常に気付き、手を伸ばし彼女の肩を持つようにした。
「どうしたの?」穆炎と千守は異口同音だった。
雲知:「大丈夫だ。」雲知は一言言って、それ以上話したくなかった。彼女は頭をあげ、千守に向かった。「千守、あなたは穆炎を送って、いい?明日は、あなた達に授業をやる。」
千守は頷いた。
李雲知の家の外
千守:「あなたは学校に来たのは、いったい何のためか!!!?」千守は穆炎のえりを一気に掴んだ。「わたしたちは、みんな知っている。あなたは、李雲知の名前がわたしの三生石の上に刻まれていることを、この目で見たの!天意に逆らうのはできない。況して。。。あなたは人じゃない!!
穆炎!あなたは、自分が人じゃないことを忘れないで!!」千守は大きな声で怒鳴った。すべて心をこめた言葉であり、すべて事実でもある。
穆炎:「わたしが人じゃなくても、雲知もわたしのことを愛している。あなたはさっき彼女の反応を見ただろう?彼女はすべてを思い出した。わたしが恒诺雲に忘れさせたことも思い出した!つまり、彼女は、いまわたしが人じゃないことを、もう知っているはずだ。」穆炎は淡々と事実を述べた。
千守はその場で呆気にとられた。そうだ、先ほど雲知の様子は確かに異常だった。彼女は何かを知っているみたい。「だけど、あなたと雲知は不可能だ!」
穆炎:「不可能?前世、もしわたしは自分を犠牲してあなたを救わなかったら、わたしは诺雲とちゃんと匈奴で一生を過ごせたのに!二千年前のわたしは思い切ってやれたかもしれないが、今回こそ、もう譲らない。雲知のこの一生を無駄にすることもない。昔、わたしはとっくに命を捨てた。今後、あなた蔡家族と、もう何も関係がない!」穆炎は青筋を立てて、はっきり言い切った。
千守:「よし!よし!よくできた。」千守は歯を食いしばって穆炎を憎むように見て、後ろに後退りするばかりだった。「あなたはもうわが蔡家族を守る神様ではなくなった。あなたは自由になった!実は、あなたは恩返しをしたいだけで、だれか無理やりにやらせるわけではなかった!いま、あなたは天意に逆らおうとしている。行け!天はあなたを助けるか、それともわたしを助けるか、見てみよう。」
穆炎は黙り込んで、冷たく千守をちらっと見て、消えた。
住宅団地の前にある住金不動産の販売事務所
穆炎は入って、笑顔で迎えてくれたセールスマンに対して、「わたしは。。。」とすこし間をおいてから、目を閉じ雲知の家がある番地を探していた。頭には、D1棟、301室という場面がはっきり現れた後、彼は目を開けた。「後のこの住宅団地のD1棟、301室に一番近い部屋を探してくれないか。リースしてもいいし、売ってもいい、一番近いのがほしい。」
店員:「わかりました。少々お待ちください。」
一時間後、雲知の家の向かい側の楼に、雲知の部屋の窓に面しているベランダには、穆炎は現れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます