第二巻 第二話 丹徒城
第二話
丹徒城の中―
江蘇鎮江、夜、漢の軍隊は襲ってきて、丹徒城門は破られ、呉国の兵士は漢の兵士と戦っていた。
趙永安:「呉国の軍隊は敗れ、揚子江の南の丹徒に退いた。つまり、今日の江蘇鎮江。いま、見たのは、丹徒城内の情景だ。」趙永安は付け加えた。
戦場では、敵を殺していた蔡允は天を仰いで叫んでいた。「穆炎、わたしをほっといて、はやく诺雲を救いに行け。彼女を連れていこう!はやく行け!」言い終わると、振り向いて再び蔡允を見ると、この時、後についた蔡允はもういなかった。彼はとっくに消えて,诺雲を探しに行った。
馬 の傍
诺雲は鎧を着て、馬に乗ろうとしていた。
诺雲の後の空気が震え、穆炎は現れた。穆炎は诺雲を抱きしめて馬から降りた。诺雲は穆炎であることを知らず、驚いて刀を抜き、振り向いて刺そうとした。穆炎は慌てて手を緩めた。「わたしだ!」
诺雲はほっとした。彼女は振り向いて、「東門が破られたって!わたしについてお父さんを探しにいこう!」
穆炎:「将軍は大丈夫だ、我々がいるからだ!あなたはわたしと一緒に城を出ていけ!」穆炎は綱を引っ張ってきた。
诺雲:「いいや!」诺雲は目を丸くして、怒っていらいらした。「穆隊長!あなたはこんなに憶病なものだとは思わなかった。わたしを連れて先に逃げるつもりか?!!」
穆炎:「木の生えている山があるかぎり,薪の心配はない.呉国はもう終わりだ!命を保つのは大事!将軍の安全は、蔡襄允とわたしが守るから!あなたを外に送ってから、わたしはまた帰ってくる!わたしを信じて!残った1000人以上の兵士は、将軍を離れるように、十分な時間がある。いま、あなたはわたしを信じて、わたしと一緒に行け!」彼は言い終わると、诺雲を引っ張って馬に乗らせようとした。
诺雲:「いいえ!!離して!わたしはお父さんと一緒にいたい!もし離れる時間があったら、わたしはむしろ彼と一緒に行きたい!」
穆炎は手を離すわけにはいかない。诺雲は一生懸命に抵抗しようとしたが、却ってきつく掴まれるようになった。彼女は思わずいらいらして、鞭をあげ穆炎に打とうとした。穆炎は诺雲を見て、淡い褐色の目が一瞬、黒くなった。
诺雲はこの黒く固い目を見ると、思わず手を緩めて、穆炎の肩にかかって泣き崩れた。「帰してくれよ。。。帰してくれ!」
穆炎:「もういい、わかった。目をあけ、わたしを見て!わたしを見て!」穆炎は眉をしかめため息をついて、柔らかく言った。
诺雲は目をあげ、涙をながしながら穆炎を眺めていた。穆炎の瞳が一瞬、輝き、金色に変わった。
诺雲はすぐ倒れて、昏睡した。
長安朱雀山 土地寺
穆炎は诺雲を抱いて、土地寺に現れた。诺雲は仏像の前にいって低い声で呪文を唱えた。そうすると、一つの光が地面からたちあがって、彼たちを包むようになった。あっというまに、二人はその光とともに、沈んだ。
そうだ。これは、正に当時穆炎の住む場所だ。もうひとつの古典的な優雅な世界だ。穆炎は昏睡した诺雲をそっとベッドの上に置いて、振り向いて離れようとしたところ、目の前のがらがらした大きな空間がどうも寒いような感じがした。彼はちょっと眉をしかめると、ひとつ燃えている香炉と、暖炉が目の前に現れ、そして诺雲のベッドの前にひらひら飛んでいった。穆炎はこれで、すこし満足そうに振り向いて部屋の中から消えた。
丹徒城
丹徒城の城壁の上方空気が震え、穆炎は現れた。
穆炎は城を見下ろし、将軍と蔡允の姿を探していた。
蔡允は東門につながる道路の真ん中に立って、城門から入ろうとした敵軍と戦っていた。一方、将軍は、諸兵士に守られて馬に乗って西門に駆けていった。
穆炎は、城の外のメイン攻撃を指揮している将領である周亜夫は部下に命令したのが聞こえた。「ロケットを撃て!城内の生き物をすべて殺せ!」
穆炎は心の中で驚いた。「城を攻めて城に入った兵士はまだ多くない。彼たちは、自分の人も一緒に殺せということか!」穆炎は慌てて振り返って城の下の西門を眺めると、将軍たちは西門までまだ数十メートル離れている。
しかし、この時、城外の漢の軍隊は既に数万個のロケットを用意した。兵士は錦旗を振って、「撃て!」と大声で叫んだ。漢の軍隊の数万個のロケットは一斉に撃たれ、丹徒城の上空からものすごいスピードで落ちてきた。
時が一瞬、停まったかのように思えた。穆炎は見まわして、将軍を見て、それから振り向いて蔡允を見た。
その恒将軍は馬に乗って駆けていたところ、ふと地面に火の影が広がっているように思え、振り返って見ると、なんと数万個のロケットがまっすぐ飛んできたとは!将軍は呆気にとられた。
この時、蔡允は敵と一生懸命、戦っているので、すこしも知らなかった。
穆炎は眉をしかめ、城壁から消えた。次の一瞬、蔡允と将軍の間の城の中央に、空気が震え、金色の瞳をしている穆炎は現れた。
今回、時は止まらなかった。ロケットは土砂降り雨のように城に落ちてきて、あちこちに、炎だらけになった。両軍の兵士は相次ぎロケットに撃たれ倒れた。蔡允は目の前の敵と戦っている最中に、突然周りから悲鳴の声があがってきて、火の光が目に映ったので、二人とも驚いて、兵器をおろし周りを見回した。二人がいる場所を除くと、すべてロケットだらけだ。三つのロケットは二人の頭の上にぶり下がっていて、落ちてこなかった。
一方、西城門のそばにいる恒将軍たちはけがはせず、驚きながら十数個のロケットが空に浮いているのを見ていた。しばらくの間、みんなはびくともせず、息もできないほどだった。だれかわからないが、城の中央に指差して、「鬼だ!!」と大声で叫んだ。
恒将軍はじっと見ると、金色の目をしているその人も自分を見ていた。彼は思わず「穆炎!!」と驚きの声をあげた。
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