第二巻 第一話

第二巻


第一話  遠山中学校 廊下


遠山中学校は回字型構造の建築である。廊下は中の庭を囲んでおり、あわせて五層がある。穆炎はある中年の女子先生について、教室の廊下に向かってゆっくりと歩いていた。


ちょうと放課後の時刻にあり、廊下の両側には日向ぼっこに出てきた学生が集まっていた。穆炎の皮膚の色と顔つきが中原人と違って格別にかっこいいためか、或いは体中に漂っている気質がなんだかおかしいためか、わいわいと騒いでいた学生たちは、穆炎を見たとたん、先ほど言いたいことを忘れたかのように、急に静かになった。賑わった廊下も、先生と穆炎のために、一つの通路を譲ってあげた。


この時、穆炎から遠く離れていない廊下の前には、世間話をしていた雲知とそばのクラスメートも、このわけのわからない静かさに引きつけられて、頭を振り向いてみようとした。雲知をとっくに見た穆炎は、彼女たちに向かってにこにこしながら歩いてきた。


雲知はびっくりして顔色を変えた。彼女は自分の目を疑うほど、唇を震わせながら、「あなた!。。。」と小さい声で言った。


穆炎はゆっくりと雲知の目の前に歩いて、にこにこしながら、「わたしは穆炎と言います。穆隊長の穆、燃える炎の炎です」と紹介した。

雲知はとっくに呆気にとられた。彼女は拳を握りしめて、どうしたらいいか分からず目の前の人を眺めた。


穆炎:「わたしたちは、なんだか、あったことがあると思う。」

穆炎は瞬きもせず、雲知をじっと見つめながら、ゆっくり話した。「昔。。。昔々。」

この時、中の庭に跨っている廊下の向こうに、欄干によりかかり眺めている李雲燦は、この情景を一望に収めることができた。




この時、遠山中学校の正門にて


一台の車がゆっくり中に入って、千守は車から降りて、教学ビルを仰いだ。彼は深呼吸して、思わずこの前、趙永安が彼に見せた画面を思い出した。


千守が人間の世界に戻る前日、チベット松賛乾寺の前にある湖畔


空気が震え、千守と趙永安は現れた。


趙永安:「この湖の下に、一枚の銅の鏡が埋められている。それは往生鏡だ。世の中の妖怪、仙人の過去が見える。」


千守:「妖怪と仙人の過去?。。。。。だけど、これは、わたしが人間の世界に戻ることと何か関係があるの?」

趙永安は笑っただけで何も答えなかった。彼は湖面に向かって手まねをして呪文を唱え始めた。


そうすると、湖面の中心から、水面が徐々に高く盛り上がってきて、荒波が立つうちに、一枚の銅の鏡が水面から浮かんできた。趙永安は掌を胸の前に引くようにすると、銅の鏡が二人の目の前に飛んできた。


趙永安は千守に振り向いた。「いま、あなたに見せるものは、穆炎の記憶だ!」そう言い終わると、彼は目を閉じ呪文を唱え始めた。あっというまに、銅の鏡の中心から、色とりどりの雲と霞が咲いており、鏡の面からあふれ出てきた。

趙永安は、呪文を唱え続けた。千守はまったく一文字もわからなかったが、最後の一文字「mouyan」だけ聞き取れた。それは穆炎の名前のようだ。


こう考えるうちに、目の前の銅の鏡は霧が消え、両軍が戦っている場面は映された。


趙永安:「削藩令は呉国に伝わって、呉王様は楚、趙、缪西、済南、淄州、缪東と連携して、兵を起こした。司馬である蔡允も鎧を着て、戦場に赴き、敵を殺した。」趙永安はそばで付け加えた。


穆炎は手に大きな刀を持っているが、顔に難色を示し、s


蔡允は納得しなかった。穆炎は、「わたしはいま、修行中であるので、人を殺してはいけない。そうじゃないと、仙人になれない。」


蔡允はこれを聞くと、にやにや笑った。「こんな状況のもとで、あなたはなんと、いい腕を生かせないのだ!??」


穆炎は言い返した。「だけど、わたしは、あなたが他の人に殺されないように、守れる!」


蔡允は慌てて拳を握って謝った。「あらあら!失礼失礼、それはご苦労さま!」


穆炎は悶々として何も言わず前方を眺めていた。突然、二人の敵が刀をもって千守と穆炎に向かって、襲いかかってきた。穆炎は微かに瞬きしたら、二人は急に動けなくなった。千守は勢いよく刀を二回連続で振り回したら、その二人は地面に倒れた。


このように、戦いの中で、蔡允にかなう敵はいなかった。襲いかかってきた敵軍は相次ぎ、千守の刀に殺された。一方、穆炎は両手を組んで、蔡允の後についてゆっくり歩いていた。

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