第二十一話 現代に戻る
第二十一話
回廊の上空の空気が震え始め、千守は身を隠して、後ろの空に浮いていた。
「射て落ちた鷹の足には、縛られているとのこと?」恒裕杭はお供に聞いた。
お供は「はい。全巻の羊皮の上にはすべて匈奴の言葉が書かれています。」と答えた。
この時、空は暗くなりつつある。遠くから見ると、書斎の中はこうこうと明かりがついていた。突然、屋上に何かぴかぴか光っているようなので、じっと見ると、なんと屋上には一人が伏せていた。光っているのは、遠くからみると、なんと腕を守るための鎧のようだ!空に浮いている千守は驚いた。「あの人。。。まさか前世のわたしか!!?」
千守は恒裕杭とそいつについて、書斎に潜みこんだら、衝撃な場面が目の前に現れた。
そいつは、逆手で恒裕杭をしっかり抱えながら、二人とも前へ引っくり返された。
ドンと地面に落ちると同時に、そいつの手の中に握られた刀はまっすぐ恒裕杭の体の中に刺し込まれた。恒裕杭は目を丸くして、そいつが振り向いたのを見て、「蔡允!!。。。。!」と口がすべてしまった。ちょうど外に駆けてきた恒诺雲は、これがはっきり聞こえた。彼女は思わず「蔡允!」と驚いた。
千守はこのように、「自分」が裏門から逃げていったのを見て、どうするにもできなかった。
霧が薄くなり、千守は教室に戻って、上空に浮いてぼうっとしていた。突然、そばの空気が震え始め、趙永安は現れた。
趙永安:「どういうことか、はっきり見たか?」趙永安は目を細くした。
千守:「はい。しかし、これはどう片付ければいいの?恒诺雲はもうわたしがその書斎にいることがわかったの。」
趙永安:「前回、穆炎は蔡允の兵営テントの前に、恒诺雲を昏倒させたこと、を忘れたか?」
千守は当時、雲知の夢の中の情景を思い出した。
「诺雲!」突然、テントの中から、厳しそうな男性の声が伝わってきた。
诺雲:「あなた様、あなた様は。。。なぜここにいるのか!?」
穆炎は黙ってにっこり笑って、瞬きをした。そうすると、诺雲と地面にいる二人の可哀そうな守衛は、すぐ昏倒した。
千守:「ええ。。。。。。」ここまで思うと、千守は思わずため息をついた。「だけど、どうしたらいいの?穆炎は当時、恒诺雲を永遠に誘拐したのか??」
趙永安は笑った。「穆炎は恒诺雲のこの段階の記憶を消した。」
千守:「本当!!つまり、诺雲はわたしが彼女のお兄ちゃんを殺したことを知らない!!?」
趙永安:「いいえ、違う違う。」趙永安は指をふった。「穆炎の法力は当時でしか役立たなかった。今回、これから、雲知は前世のことを思い出すだけではなく、穆炎に抹消された記憶も徐々に頭の中にはっきり浮かんでくる。」
千守:「なに!!?」千守は驚いた!
趙永安:「つまり、彼女が思い出せるようになると、あなた二人は暴れることとなる。いまは、西漢時代じゃなくても、彼女の父親も二人を殺せなくても。」趙永安は笑ったように見える、また笑っていないように見える。
千守:「じゃ。。。。」千守はなんだかどきどきして、急いで聞こうとしたが、趙永安に断れた。
趙永安:「言う必要はない。いま、聞きたいのは、あなたはまだ人間の世界に戻りたいのか??!」
千守は一瞬ぼうっとしたが、それから頷くばかりしていた。「もちろん!!」
趙永安:「それなら、聞きすぎ、考えすぎしないで。わたしについてきて。」
一日後、上海杏林病院 重症看護室
室内の空気が震え始め、千守と趙永安は千守の病床の前に現れた。
千守は自分の病床の前に立って、複雑な表情を見せ、自分の肉体を眺めた。
趙永安はひげをなでながら、「もう怖いか?」と聞いた。
千守は頭をふって、深くため息をついた。「戻って、いろんなことをやらなければならない。また、やりたくことも一杯ある。だけど、わたしを愛している人と、わたしが深く愛している人は、むこうの世界で、わたしを待っている。わたしはもうこれ以上、逃げることはできない。幽霊になった日々は、まるで南柯の夢のようだ。すべてがあまりにも突然だった。わたしはこれほど多くの意外に遭遇したが、放出できる出口が見つからない。放出のルートですらいくら探しても見つからない。こんなに混乱した日々がようやく終わる。或いは、もっと混乱する日々が未来でわたしを待っているかもしれない。この時、この時だけ、この肉体に戻ってからこそ、わたしは未来を切り開くチャンスがある。」
こう言い終わると、深呼吸して目を閉じ、天を仰いで自分の肉体の上方に浮いて行った。魂が下に沈むのに任せていた。肉体に触れた一瞬、金色の光が触れた面から、千守の肉体全体へと広がっていった。
あっという間に、「スィ。。」という音がして、魂を肉体の中に、完全に吸い込んだ。趙永安は笑いながら、近寄ってみたら、病床にいる千守は目をあけた。
病院の廊下
お母さんは涙を流しながら、速足で駆けていて、お父さんはお母さんの後について走っていた。
「はやく、はやく」とお母さんは催促しながら、千守の病室まであたふたと駆けてきた。
扉を開けると、千守は病床に座って、涙を流して彼女を見ていた。この情景はまるで夢のようで、お母さんは思わず扉の傍に立って、泣き崩れた。
千守は「お母さん!」と呼んだ。
お母さんは、前に歩き、千守をぎゅっと抱きしめて、しくしくと泣くばかりで何も言葉が出なかった。
この時の大理崇聖寺には、穆炎は寺院の本殿の屋根に座って、日の出を眺めていた。
突然、彼は何かを感じらしく、眉をしかめ目を閉じた。彼の頭の中には、千守の魂が肉体に入った場面が浮かんできた。穆炎は低い声で、「千守!」と言った。
遠山中学校 学校の指導処事務所
白いワイシャツを着て、ジーンズをはいている、皮膚が黒い男の子が、指導主任の目の前に現れた。
主任:「何かあるの?」指導主任は黒枠のメガネをかけている、ゆっくり話している、優しく優雅なおやじである。
学生:「ううう。。。わたしは新しく転校してきた学生で、今日はこちらに報告しに来ました。2年生3組に転校します。」
主任:「あら?そうか?」指導主任はめがねの枠を上にちょっと上げて、言いつづけた。「だけど、今日は転校生が来る話を聞いていないね。。。ええと、ちょっと待ってください。」こう言いながら、受話器を持とうとした。電話をかけて確認したいようだ。しかし、おかしいのは、突然、指導主任の電話に伸べた手は、空に止まって、まるでずいぶん前に発生したことを考えているようだ。まるで機械みたいに数秒間、動かなかった後、ようやく口を切り出した。「では、彼たちのクラス担任はこちらに来て、教室まで案内してクラスメートに紹介する。」
学生:「はい。先生、ありがとうございます。」穆炎は歯を見せ笑った。
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