M夫くんのMは…ー呼び名も手続きを踏むー

このエッセイにお越しいただいた方々の中に、タイトルの「M夫くん」を見て、普通サイズの「M」と勘違いした方はいないと思うけど、いわゆるSMの「M」であることを期待(?)した方はいるかもしれない。

期待を裏切って申し訳ないのですが、Mは単に本名の頭文字をそのまま採用しただけで、それに夫(おっと)をくっつけました。


ちなみに、M夫くんのサイズはLLです。


「くん」づけになっているのは、実際にうちでは「○○くん」と呼んでるから。


この呼び名問題、実はM夫くんの方からある申し出があった。


結婚を決めたあと、メールにこう書いてあった。

「夫婦らしさの演出とも関わってくるので、お互いの呼び名をどうするか、相談が必要ではないか」みたいな。


え、えんしゅつ?


はたまた、そうだん?


そのころのメールやりとり(ある程度遠距離だったので)で、M夫くんはバリバリ敬語だったので、まだほとんど名字で呼び合っていたのだけど…。

こういうのって、ある時いきなり下の名前で呼び捨てにして、ドキッとしてる相手に「…って呼んでもいいかなぁ?(照)」という瞬間があったり、「○○くん♡…あ、呼んじゃったぁ」的な、でろ〜んとした甘い会話があって、二人だけの特別な呼び名が成立するもんじゃないのかな!?


そういう妄想は、理系クンであるM夫くんには皆無だったようだ。


そこで、ちょっとドギマギさせてやろうと企み、ダメ元で思いっ切り甘ったるい呼び名を提案し、B案C案も添えて返信した。ちなみに、AとBは野球選手の、Cはタレントの愛称をパクっていた。みんな頭文字が「M」だというだけで。


おそらくM夫くんはどれもガラじゃないと却下して、結局は、そのころ呼んでいた、名字を少し崩した愛称の「さん」づけに定着するだろうと私は予想していた。それはそれで、ものすごいカタブツに小さな風穴を開けるくらいの、絶妙にシックリとバランスのとれた呼び名ではあったので、まあ、ちょうどいいだろう、と。


ところがどっこい、ABCの中で一番マトモに普通っぽい愛称であったBでもなく、M夫くんはA案を「承諾」してきた。

「いいトシして恥ずかしい気はするけど…」と書いてあった。

そりゃそうだ、半分冗談だったんだから!

私がそう呼びたがっていると勘違いしたのかな?

そして実は、それまでの名字をもじった呼び方はそもそも気に入ってなかったようだ。


というわけで、「M夫くん」である。

正式な手続きを踏んで決定した。


ナットクがいかないのは、一応、その時に私の呼び名も相談していて、「最初のうちは恥ずかしいから、下の名前そのままに「さん」づけで呼ばせてもらうけど、慣れたら「○○」か「●●」(いずれも私が今まで家族友人などに呼ばれていた愛称)にする」と言っていたのに、今もって名前に「さん」づけなことだ。


っていうか、それすらほとんど呼んでくれない。私を呼ばないのだ、M夫くんは。

もう何年にもなるのに、どーなってんの!?


M夫くんメモ:

ロマンちっくなことであっても、正式な(?)手続きを踏みたいらしい。ただし、自分に都合の悪いことは(無意識に)守らない場合がある(要経過観察)。

呼び方については、かなり照れくさくハードルの高い問題であるらしく、煽れば煽るほど頑なに拒否する傾向が見受けられるので、引き続き生暖かく見守るべし。

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