第7話 魔王少女6
目を覚ますと、俺はベッドで寝ていた。
昨日は確かベルと一緒にお茶をして、カトレアという女性から、シズカの話を聞いて、そしたら角生えた悪魔がベルを殺そうとして、カトレアさんが、串刺しになって、そんで、あのメレクだったか? あいつを氷柱で滅多刺しにして、カトレアさんを回復して意識が消えたんだったか?
マルクトは周りを確認しようとして、起き上がると、謎の違和感を感じた。
ふと横を見ると、なんか不自然二布団が盛り上がっていることに気付いた。
おそるおそる布団をめくると、なんとそこには、全裸のベルが寝ているではないか。
マルクトは頭が真っ白になり状況がうまくつかめなかった。
とりあえずベルを起こそうと思い、ベルに声をかけようとするが、
「ベルフェゴール様は、昨日からあなたの看病でお疲れなのです。もう少し寝かせてあげてもらえませんか?」
椅子に腰をかけていたカトレアにベルを起こさぬように頼まれた。
そう言ったカトレアはベルフェゴールに布団をかける。
そんなことよりも
「いやなんで裸なんだよ」
「看病には人肌がよいと聞いたらしく、実戦するとおっしゃっておりました。顔色を見るに、随分効き目がありそうですね」
「いや俺のはただの疲労が蓄積して倒れただけで別に看病される程じゃないんだけど。……あんたは無事なのか?」
俺の答えに彼女は申し訳なさそうに頭を下げた。
「この度はベルフェゴール様を助けていただいたうえ、私の治療までしていただき、誠にありがとうございました」
そもそも俺にとっては彼女の行動がよくわからなかった。
誰かを守るなら自分が命をかける必要はないと思うのだが、俺のように、結界で守った方が早いと思うのだけれど。
「なんか俺が暴れたせいでもあるみたいだし、気にするな」
そんな会話をしているとベルが目を覚ました。
ベルは俺の無事な姿を見ると、目を輝かせて、
「マルクトー!」
と抱きついて来た。
え?
あたる、当たってる。とりあえず早く離れて。ヤバい、理性がヤバい。
「とりあえず服を着ろー!」
とまあ、そんなことがあったため、彼女たちの抱えている問題を解決するために、昨日話を聞いたテラスに出て話し合った。
ちなみに、ベルは服を着てくれた。
・まず一つ目は住むところ。
これはこの場所にいては、魔王討伐を掲げた勇者や大天使サリエルに襲われる可能性が高いからだ。
そのため、俺の家に招待することにした。
カトレアには家の雑事を手伝ってもらい、ベルには俺の家で滞在することで、魔王としてではなく、親戚の子どもとして預かることにした。
安全性はここよりも良いと言うと、カトレアはあっさり了承した。(ベルは最初から賛成していた)
・二つ目は食事である。
俺は一番これが不安だった。
なぜなら、人間を食べたりする種族も多い訳だし、人が食べられないようなものが彼女たちの主食かもしれないと思ったからなのだが、二人に聞くと、別に食べなくても生きてはいけるらしく、食事も人間と変わらないものを食べられるそうだ。
それに彼女たちは、人は食べないそうだ。
・三つ目は呼び方に関して、魔王ベルフェゴールの名が俺の知らない間に広がっている可能性もあるわけだし、呼び方には気をつけるべきだと思う。
とりあえずカトレアがベルのことをお嬢様と呼ぶことになって解決した。
ベルフェゴール自身は元々自称がベルなので問題なさそうだ。
・そして最後に一番大事なことだ。
ベルは魔王なのだ。
つまり、魔物の王。
普段街に出るときは自分が魔物だと分からないように、認識阻害の術をカトレアが発動しているらしいのだが、俺のようなレベルの高い魔法使いには見破られる。
という訳で、ベルの魔王としての妖気を俺の魔力で完全に抑えこむことにした。
これは魔王として、魔物を服従させることができなくなった代わりに、ベルを魔物だと見破ることが俺が死なない限りほぼ不可能になったということである。
そして、一応二人とも俺の言うことはある程度聞く約束をした。
勝手に行動されて、魔王を匿っていると思われたくないからだ。
という話を終え、俺たち三人は魔王城をあとにした。
道中先日寄った村にまた寄ることにした。
メグミという先日あった少女にお別れを告げたいとベルにせがまれたからだ。
俺たちが、メグミの家に向かうために、村に入ると、村は荒らされていた。
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