第7話 あって当たり前の物って失ってから大切って気付くよね

目を覚まして最初に見えたものはいつもの見慣れた天井ではない病院でよく見るちょっと不思議な‘‘あの‘‘模様

窓の外は曇っていて、昼過ぎにしては暗かった。

「あ、あれ、ここどこ?」

「あかね!?あかね!!私がわかる?!」

「え?誰?」

「え?嘘でしょあかね?お姉ちゃんだよ!」

「うん、嘘」

「帰ったら覚えておきなさいあかね」

そういったお姉ちゃんの顔はマジだった

「それでここは...?」

「近くの総合病院よ。あんたが階段から滑ったあと私が救急車を呼んでここに運んでもらったの」

「そっか」

「それで具合はどうなの?」

彼女は不安そうに言った

「今は全然大丈夫だよ」

「そっか、良かった。本当に心配したんだからね」

姉桃子は安堵の表情を浮かべ、さっきまで座っていたであろうパイプ椅子に腰を下ろした。

「それにしても本当にびっくりしたよ」

彼女はそうたて続けに口を開いた

「いやごめんってTPOを弁えてなかったよ私」

さっきのことがそんなに気に食わなかったのか。いやまあ確かに驚かされて怒るのはわかるけど

「階段から落ちた時の話よ?」

「ああなんだ。いや私もほんっとうに焦ったよ、転ぶときにスローモーションになるアレが起こったのまだ鮮明に覚えてる」

なんだそっちか、良かった。いや良くはないけど

「あかねが返事しなかった時なんて私顔真っ青よ、ちょうどお母さんも出かけてたしね」

「は、はは、ちょっとはしゃぎすぎちゃったね私。心配かけてごめん」

あかねは声を落としてそういった。

「いいよの別に、あなたが無事だったら」

姉はいつもの笑顔でそう私に言ってくれた。

「あっそういえば、さっきあかねが寝てる時にすごーくコミュ障っぽいクラスメイトだって子がこれ渡しに来てくれたわよ」

姉の温もりを感じている私に思い出した様に温もりを与えれくれた張本人が言った

「なんか嫌な予感がするんだけど....」

いつの間にか窓の外は雷が鳴るほどの大雨になっていた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る