スマホのお洗濯体験記

 今年の春起こったことをお話します。

 なんと、私は軽率にもスマホをポケットに入れたまま洗濯してしまいました。

 洗濯機のスイッチを押したときに、ふと自分の服のシミがあるのに気付いてしまい、慌ててその場で脱いで洗濯槽へぶち込んだのですが、そのときポケットに、買って二年経っていない、さらに言えば無償修理して基盤全部交換して数か月しか経っていないスマホが入っていました。


 洗濯が終わって、洗濯機の中の衣類を取り出すとき、何か変な音がするなと思って探ってみると、さっきまで着ていた服のポケットの中で私のAQUOSがひたすらバイブレーションを鳴らしていました。

 本当に、悲鳴のようでした。

 私の口をついて出たのは

「うげ」

の一言。

 防水機能がついていたのですが、洗濯には敵わなかったようです。


 水没スマホ対処法のお約束、電源を切り電池パックを取り出す作業ですが……

 まず電源ボタンが死んでいて、切れません。

 電池パック内蔵型なので、取り出せません。


 AQUOSは真っ黒な画面でひたすらバイブレーションだけを鳴らしていました。

 苦しみ死にゆく人をただ見守るしかない思いで、天日干ししました。

 室内だとうるさいし。


 丸二日、バイブ鳴らした後で電池が空になり静かになりました。

 苦しみ抜いた人がやっと息を引き取ってくれた感じでした。


 スマホを水没させたときは乾燥させれば復活するというので、ディスカウントショップで300円くらいの乾燥剤を買ってきて、そのスマホを埋めました。

 そうやって、日々乾燥剤の中から取り出して、手で握って乾いたかどうか確認するのですが、何日たっても手の熱で内部が温められるとレンズの中にびっしり結露します。

「ああまだ乾いてない……」

と落胆の極みでした。

 でも、乾きさえすれば直る、という期待もあって長期戦を決め込みました。


 結局、内部まで乾くのに10日間ほどかかりました。


 早速充電を始めてみます。

 充電ランプがつきました。

 そのことだけで私は胸がいっぱいになり、勝利を確信しました。

 水没スマホは電源切って乾燥させれば8割程度は復活するというのをどこかで読み、こりゃ私はその8割に入ったなと。


 ところが充電した後電源ボタンを押すと……



――何も起こりません!!




 私は敗者の2割に入ったのでした。

 でも、だいたいその2割というケースの多くが「原因:洗濯」らしく、今回は最初から勝ち目のないゲームだったようです。


 無知で粗忽って、コワイネー!


 キャリアの直営店に行き、新品を取り寄せると8万円。

 キビシイ。


 ということで、中古の同機種を探してみました。

 赤ロムの可能性のない美品を約15000円で見つけ購入することになりました。

 今までのスマホに入っているカードやチップ類を全部移し替えて差し込めば、それで設定終了。


 安いー! 簡単ー! と喜んでいるのですがもともとスマホを洗濯さえしなければこのようなことにはならなかったので、どこが安いのかわかりません。

 空元気というやつです。


 その前に、私のスマホ内のカード類、生きてんのか……??

 死んでいたら、愛する亡妻のクローンに記憶を移してもう一度安らかに暮らすはずが、「あなた誰?」と言われたような衝撃です。


 しかし何ということもなく、中古スマホちゃんは正常に動いて、たまに中古品ならではの不具合を起こしながらも今も私の手元にあります。



 さてここで、知っていた方がいい付け焼刃の豆知識。

 赤ロムについて解説します。

 前の持ち主が本体価格の月賦中に売ってしまった中古スマホ、平たく言えばローン支払未済中古スマホの場合、前の持ち主が「もう自分のスマホじゃないからいいや」と支払いをストップすると、キャリア会社がその品を誰が持っていようと構うことなくロックし、使用不能にしてしまいます。

 その状態を「赤ロム」と言い、買いかえることしか対処法がないという恐ろしいものです。

 中古スマホを買うときは、その品の製造番号をキャリア会社に問い合わせて赤ロムの心配がある品か確認し、販売者の信頼性が高く、使用不能時の保証がついているかどうかをチェックするようお勧めいたします。

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