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「わざわざ出てきてくれた」

 その瞬間を逃さなかったライトが引き金を引く。銃弾は魔物の眉間を捉えたけど弾かれる。

「硬い」

 ボスはこちらを睨みつけてくるが、その場から動かない。その前に並ぶ魔物達も威嚇してくるだけで攻撃をしてこない。

「迂闊に動いて雑魚に手間取ってるとボスにやられる。厄介」

 ライトの銃弾を弾くぐらいだ。強さは飛び抜けているだろう。

 そうしてにらめっこをしていると、最初に動いたのは魔物のボスだった。

 自分の前にいた魔物を両手に持ち、こちらに投げてきた。その威力は水から飛び出してきたヤツ以上だ。

 初めに俺と、カーミラの所に飛んでくるけど、正面からなので避ける――がそれがミスだった。

 避けた態勢の所に、また魔物が飛んできたのだ。体を無理矢理捻りながら、魔物に合わせて剣を付き出す。切った手応えを感じたけけど、俺の横っ腹に痛みが襲う。

 俺が迎撃をしたタイミングで一発目に飛んできた魔物に攻撃されたんだ。見えてはいたけど、避けきれなかった。

「うわぁぁぁぁっ!」

 後から叫び声が聞こえたけど、銃声が聞こえるからライト以外のどちらかだろう。ボスがこちらだけじゃなく、向こうにも投げたのだ。すぐに駆けつけようと雑魚を切って走ろうとしたが、また魔物が飛んでくる。

「くそっ」

 その魔物を倒して構えるが次はなかった。反射的にボスの方をみるとそこに並んでいた雑魚魔物がいなくなっていた。

「よし! 弾切れ」

 カーミラは大丈夫だろうと判断して、すぐに後ろに走る。

 ライトが魔物2匹と交戦している。近距離で不利なライトだけど銃を撃って何とか一匹を倒す。もう一匹がその背中を攻撃しようとしたけど、俺が叩き切ってやった。

「大丈夫!」

「いや、ちょっとしくった」

 青い顔をしたライトは片膝をついて脇腹を抑える。

「多分折れてる」

 周りに魔物がいないのを確認して、治癒魔法をかけると、数秒後には顔色が戻った。

「ありがとな。もう大丈夫だ」

「二人ともー大丈夫ー」

 カーミラがこちらに近寄ってくると、嫌そうな顔をした。

「ありゃりゃ。二人ともやられちゃったんだ」

 その視線を追うと、魔物3匹の死体の隣にエイキとビーバックが無残な姿で転がっている。特にショック無かったけど、目の前がチカチカする。

「悪い、助けきれなかった」

「ライトは悪くない」

 申し訳無さそうにするライトだけど、俺達は生き残った。言い方は冷たいが彼らに力が無かっただけだ。

「グワァアァオォォ」

 無視されている怒りか、仲間を全滅させられた怒りか、魔物のボスが雄叫びをあげている。

「さて、それじゃあ大物狩りといきますか」

 ライトは銃を構えてボスに撃ち込む。それが開戦の合図となる。

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