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 町の出口に着くと、二人の青年に声をかけられる。

「ミュートさんですか?」

「――はい」

 答えるか迷ったけど、相手が不安な様子だったから素直返事しておく。

「あ、あの。僕達も連れて行って下さい」

 俺達が討伐に向かうのを知っているのだろう。思い詰めた様子で頭を下げてくる。

「連れてってくれってもな。俺達だけで十分だろうからな」

 ライトが困ったかのように頭をかいているけど、相手も引き下がらない。

「僕達は初期の討伐部隊で、仲間が次々と倒れていくのに逃げて――」

 悔しそうにしているけど、負け犬に如く逃げた自分を今此処で挽回するチャンスだと思っているのだろう。そんなヤツはいらない。

「ふーん。それじゃー、勝手についてくればー」

 驚い事にカーミラが返事をした。それも肯定の言葉で。目の前の二人は表情を明るくする。

「ありがとうございます! 僕はエイキといいます。スキルは炎魔術ランク2です」

「自分はビーバックです。弓術ランク1と異常回復ランク2です」

「わかった。よろしく」

 あまり乗り気はしなかったけど、こいつらが満足するならそれでいいだろう。

 新たな仲間を加えて、北に向かう。

「魔物の根城はここから30分程で着きます」

 案内は任せて欲しいと二人が先頭を歩く。ライトが二人には聞こえない様に耳打ちしてくる。

「おい。ホントに大丈夫なのかよ」

「ああ、どっちも戦闘には使えそうなスキルだし、足手まといにはならないだろうけど」

 正直カーミラの意図が全く見えない。何も考えないだけかもしれないけど。

 そう思っていたところでタイミング良く魔物が襲ってくる。二人の動きは中々良く、俺が斬り込んでいくとうまい具合に後方から支援してくれた――そうなってくると考えないと駄目だ。

「その魚の魔物を上方修正した方がいいかも」

「ああ、案外強い魔物かもな」

 二人に初めに向かった討伐隊の構成を聞く。

「13人の部隊で皆年齢は18〜24くらいでした。自分とエイキは22です。部隊の中で一番強かったのはエイキで他は皆似たり寄ったりです」

 なるほど、一番強いのがこの人で敗走したなら修正の必要無いか。砦に入った時の俺と同じくらいだろうから。

「魔物は?」

「ボスが奥の洞窟で指示を出してます。それを守るように50匹近い魔物がいます。1匹ずつ相手にする分には戦えますが、死角から襲ってくる魔物が対処出来なくて……」

 なるほど、病院で聞いた水中から飛んでくるってやつか。

「飛んでくるのはライトに任せてもいい?」

「おう。初めからそのつもりだよ」

 さすがだ。作戦を伝えるまでも無く理解してくれる。

「それじゃー私はー」

「カーミラは俺と一緒に雑魚を蹴散らしながらボスを目指す」

「はーい」

「二人は後方から牽制と掩護を頼みます」

「……わかった」

 少し不服そうな顔をしたが、二人とも頷いてくれた。

「仇を討ちたい気持ちは分かりますが、今は町の事を考えましょう」

 念を押すように言うが二人が堪えるかは賭けだ。不安を残しながら、敵の元に向かうのは実に嫌なモノだ。

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