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 ギルドに着くと人集りが凄い事になっていた。我先にと押し寄せている。

 さすがに中に入れそうに無いから、列を整備していた職員風の奴にマールを呼び出す様に頼む。

「駄目ダメ、現状見てよ。君も、ちゃんと列に並んで」

 門前払いであった。何が悲しくて自分の持って来て売った肉を買わないといけないのか。そんな事を説明しても無駄だろうから、切り口を変えてみた。

「そういえば、魔物討伐で負傷した人はもう自宅に帰ったんでしたか」

「いや、この肉は別の所から入手したらしい。負傷組はまだ病院だ」

 これで聞きたい事は聞けたので、感謝だけして人混み離れる。向かう先は病院だ。

 受付で来た理由を話すと嫌な顔をされたけど、負傷者が集められた部屋に案内された。

「これ酷い」

 ベッドに転がっている人は皆傷だらけで、苦しそうに呻いている。特に怪我の酷い人は治療が施されいる。その中でも今にも命が絶たれそうな若い兵に数人の医者とその隣無く女性がいる。

「すみません。失礼します」

「なんだ君達は! 今大変なん――」

 怒鳴りつけてくる医者を無視して、治癒魔法をかける。

 全身ボロボロだった傷が塞がれていき、兵の呼吸も安定する。これでとりあえずは大丈夫だろ。医者呆然としていて、女性はさっきより声を大きくして泣きながらまだ眠っている兵を抱きしめている。

「次に重症な人は」

 そこはさすがに医者だった。判断が早く、危険度の高い順番に俺を引っ張っていってくれる。

 30人程の怪我人はもれなく回復。治療後に意識があったのが5人だった。

「貴方凄いですね。この人数です、普通こんなに魔法を使うと魔力切れになってしまいますよ」

 そういえばアタルさんの授業でそんな事を言っていた気もする。魔法は無限に使える訳では無く、妖精の持つ魔力総量に依存する。

 人のスキルを奪う様な奴だ。それも盗んだのだろう。

「そんな事より、貴方達がやられた魔物について聞きたいんです」

 意識の戻った5人はやられた時の事をポツリポツリと話し始める。

「二足歩行の魚みたいな奴の大群だ。全部で50匹はいる」

「一匹デカい個体がいて、たぶんそいつがボスだ」

「おそらくある程度の知恵がある」

「水魔法も使ってくる」

「鱗が硬くて物理攻撃はあまり効かない」

「陸上だと動きは鈍いが力が強い。水中に潜られると早すぎてお手上げだ」

「小さい個体は水中から銃弾みたいに飛び出してくる。それに突撃されるとひとたまりもないな」

 そこまで話すと誰も口を開かなくなる。

「なるほど、強そうですね」

 それと、もう一つ気になっていた事を聞く。

「ここにいる人達は兵士じゃないですね」

「ええ、腕っぷしに自信はある連中ばかりですけど本職別です。俺とかコイツは漁師です」やっぱりか。

「そこまでこの町の食糧危機酷いって事ですね」

「はい。アイツなんて商人ですよ。皆が止めとけって言ったのに」

 初めに治癒した人だ。

「分かりました。色々ありがとうございます」

 席を立つと逆に感謝されてしまった。気恥ずかしさを背中に受けながら病院を後にする。

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