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「なんかすっごい部屋だねー」

 やたらと高そうなテーブルにつかされカーミラは喜んでいたけど、明らかに身分の高い人達が話をする様な部屋だ。

「おい。なんか嫌な予感がするんだが」

 この町に着いてからライトのしかめっ面しか見ていない気がするけど、俺も同じか。

「予感じゃ無いと思う。確実に面倒」

 マールが飲み物を運んで来て、俺達の向かいに座る。

「どうにかして欲しいと言う訳ではないのですが、少しお話を聞いていただきたいのです」

 やっぱりか、とは思った。

「話を聞くだけなら」

 査定なんていくらでも引き伸ばせるし、どう転んでも話は聞く羽目になる。なら、とっとと聞いて断るに限る。

「感謝します――今、この町は食糧危機の状態でして、住民全てが飢えています。本来この町は漁業が盛んなのですが、数カ月前から海に凶悪な魔物が出るようなってしまって……」

「その魔物のせいで魚が捕れなくなって現状に陥ったと」

 マールがうなだれる様に頷く。

「農業とかはして無いのかよ」

「しているにはしているのですが、なんせ少量でして。近くの農村と物々交換していたので、そのつけが今になって響いてるんです」

「えーそれじゃあ今どうやって生きてるのー」

 カーミラ疑問はもっともだ。生きていけないなら町を出ればいいのに。

「蓄えていた干物や根菜を食べてなんとか」

「そのタイミングで俺達が大量の食料を持って来たと――悪いけど、定期的にってのは無理だぞ。たまたま寄っただけなんだから」

 ライトは提案される前に断り入れる――がマールは申し訳無さそにしている。

「いえ、旅の途中だと言うのは何となく分かっていましたので――ただ、もし向かうのが北でしたら協力していただけると助かります」

 残念ながら俺達の向かう方角は北だ。

「北に何かあるのー?」

「はい。その魔物というのが北にある道を塞いでしまっていて先に進め無いのです」

 なるほど、悔しいが利害は一致する。

「一つ疑問なんだけど、その魔物は本当に強いのか」

「はい。何度か討伐に向かったのですが、半分は戻って来ませんでした」

「それが分かったけど、海の魔物が北の道を塞いでるっていうのがイマイチわからねーぜ」

「行ってみれば分かります。ただ闇雲に行くのはおすすめしません。こちらで宿を用意しますので今日はそこにお泊り下さい」

 話が勝手に進んでいるが、一つ確認しておく。

「まだ手伝うと決まったわけでは無いですよ」

「承知しております。宿は食料をお持ち下さったサービスだとお考え下さい。もちろん、買取額から引く様な事はしません」

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