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「おい。ホントにこのまま登るのか」
「それーもう10回は聞いたよー飽きたよー」
ドラゴンの姿を確認してからライトがビビリまくっている。気持ちはわかる。
「今はまだ上空を飛んでるんだし、頂上まで後5時間くらいかな。それまで飛んでる事を願おう」
「いや! 降りて来てたらどうすんだよ!」
「えー戦えばいいじゃん」
「無理だろ! ドラゴンだぞ!」
ライトが珍しく怒り狂っている。
「ライトってそんなキャラだっけ」
「逆になんでお前らそんなに冷静なんだよ!」
「馬車から果敢に飛び降りて来た人と同一人物だとは思えないよ」
一通りライトをイジリ倒してながら頂上を目指し2時間。太陽が頂点に達した頃、ようやく一匹のロックリザードと出くわす。
「意外と大っきいねー」
「意外と、ってレベルじゃねーな」
上空を飛んでいるドラゴンのせいか二人の反応が薄い。正直かなりデカい。クリス先輩達と戦ったミノタウロスよりデカい。
「どうやって攻めるんだよ。これ」
ライトは銃を構えて牽制しているけど、焦りは無さそうで助かる。
「えー。とりあえず、攻撃してみるとか!」
言い終わった頃には跳躍してロックリザードに蹴りかかっていた。
無謀だろ――そんな感情はロックリザードが首を折られて倒れた瞬間に吹き飛んだ。
「マジかよ」
「俺、今からカーミラを絶対怒らせないと誓うよ」
「いや、お前それ、アイツとの結婚、って選択肢しか無くなるぞ」
「もういいよ。それで」もう惚れている事には変わらないから。
「案外弱かったねー」
満面の笑みで帰ってくるカーミラ。強いだろうとは感じていたけど、ここまでとは。
「なあ、俺達っている意味あるのか」
「ライト、それは言ったら駄目」
頼りにされているのか、ただ愛でられる為だけにいるのか。自分の存在意義を今更ながら考えさせられる。
「まあ、頼りにさせて貰おうぜ」
その考えは取り返しがつかなくなりそうで怖かったけど杞憂である事を願う。そんな俺の頭痛の種を吹き飛ばすように、カーミラはブンブンと手を振っている。
「ねぇー、袋に入るかなコイツー」
無邪気に笑うカーミラを見て俺は安心する。
「とりあえず、モノは試し。ミノタウロスも入ったんだから大丈夫」
「うん!」
そして、この笑顔は守らないと駄目だと心に誓った。
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