40
テントをまた魔法陣に戻し、俺達はすぐに動きを始めた。
「こっちからだと5日はかかる」
「まあ、カーミラのテントがあるから野宿は問題ないか」
「だね。食料も獣を狩ればいいし」
「それじゃあー。しゅっぱーつ」
初めの問題点は現在地から1時間程の所にある山だ。大きな山じゃないけど、強い魔物出るらしい――それこそドラゴンとか。頑張れば1日で越える事が出来るから、初日に突破しておきたい。
道中は数匹の獣に遭遇しただけで、難なく山に着く。獣はライトの銃によって仕留められ、血抜きして拡張袋に放り込んでいる。
「二人とも覚悟はいいか」
「覚悟も何もここまで来たら行くしかない」
「大丈夫だよー。そんなに心配しなくても」
――立入る者の命は保証しない
そう書かれた立て札を横目に俺達は山を登り始めた。
遠目から見ていたので分かってたけど、植物が枯れてしまったはげ山だった。そのせいで、その辺りに獣や魔物のホネが転がっている。
「こうも見通しが良いと弱肉強食がすげーだろうな」
「うん。そうなってくると強い魔物しかいないっていうのも納得出来る」
こうしてのんびり話ていられるのは登り初めて1時間経つのに、まだ他の生物に遭遇していないからだ。
「こういう所ってー、イメージ的に高い所に行くとボスがいるよねー」
「そういうの辞めろマジで」
「案外このまま無事に越えれたりしない?」
「そういうのも辞めとけって」
ライトは一人でため息をついているけど、別に俺は楽観している訳でもない。ロンから貰った鑑定の知識が大丈夫だと教えてくれている。
「そこに洞穴がある」
「おう、来る途中に結構あったぞ」
「あれを住処にしてるのは、ドラゴンの亜種ロックリザード。巣の前に石がある時はあの中に魔物がいる証拠だから大丈夫」
「そうなのか」
肯定の意味で頷くけど、カーミラは面白く無さそうだ。
「えー。ドラゴン寝てるんだ。折角だし戦いたかったなー」
「お前、どんだけ好戦的なんだよ。ホントに勘弁してくれ」
「ライトには申し訳ないけど、もしかしたらロックリザードの方が数倍マシかも」
「何がだよ」
俺は上を指差すと、ライトは口を開けたまま固まってしまった。
「嘘だろ」
俺達の目に映っているのは、山の上を旋回する翼を持った巨大なトカゲ――ドラゴンだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます