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 テントをまた魔法陣に戻し、俺達はすぐに動きを始めた。

「こっちからだと5日はかかる」

「まあ、カーミラのテントがあるから野宿は問題ないか」

「だね。食料も獣を狩ればいいし」

「それじゃあー。しゅっぱーつ」

 初めの問題点は現在地から1時間程の所にある山だ。大きな山じゃないけど、強い魔物出るらしい――それこそドラゴンとか。頑張れば1日で越える事が出来るから、初日に突破しておきたい。

 道中は数匹の獣に遭遇しただけで、難なく山に着く。獣はライトの銃によって仕留められ、血抜きして拡張袋に放り込んでいる。

「二人とも覚悟はいいか」

「覚悟も何もここまで来たら行くしかない」

「大丈夫だよー。そんなに心配しなくても」

――立入る者の命は保証しない

 そう書かれた立て札を横目に俺達は山を登り始めた。

 遠目から見ていたので分かってたけど、植物が枯れてしまったはげ山だった。そのせいで、その辺りに獣や魔物のホネが転がっている。

「こうも見通しが良いと弱肉強食がすげーだろうな」

「うん。そうなってくると強い魔物しかいないっていうのも納得出来る」

 こうしてのんびり話ていられるのは登り初めて1時間経つのに、まだ他の生物に遭遇していないからだ。

「こういう所ってー、イメージ的に高い所に行くとボスがいるよねー」

「そういうの辞めろマジで」

「案外このまま無事に越えれたりしない?」

「そういうのも辞めとけって」

 ライトは一人でため息をついているけど、別に俺は楽観している訳でもない。ロンから貰った鑑定の知識が大丈夫だと教えてくれている。

「そこに洞穴がある」

「おう、来る途中に結構あったぞ」

「あれを住処にしてるのは、ドラゴンの亜種ロックリザード。巣の前に石がある時はあの中に魔物がいる証拠だから大丈夫」

「そうなのか」

 肯定の意味で頷くけど、カーミラは面白く無さそうだ。

「えー。ドラゴン寝てるんだ。折角だし戦いたかったなー」

「お前、どんだけ好戦的なんだよ。ホントに勘弁してくれ」

 「ライトには申し訳ないけど、もしかしたらロックリザードの方が数倍マシかも」

「何がだよ」

 俺は上を指差すと、ライトは口を開けたまま固まってしまった。

「嘘だろ」

 俺達の目に映っているのは、山の上を旋回する翼を持った巨大なトカゲ――ドラゴンだった。

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