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今度は現実で覚醒した感覚があった。その証拠に目の前にカーミラの顔があった。
「あ、おはようー。昨日は楽しかったね♪」
なんでまだ裸なんだよと思ったけど、何よりカーミラの背中いっぱいに広がる入墨が気になる。頷きながら聞いてみる。
「その入れ墨っていついれたの?」
「これはねー、生まれた時からあるんだよーダークスの国民は皆あるんだー」
なんでも、ダークスはドランと違い生まれた時から聖霊の加護を貰えるらしい。そして、その力は入れ墨のサイズで決まるらしい。なら、カーミラの力は相当強い事になる。
「うん、それは置いといてー。一つ聞いていいかなー」
「なに」
「なんかねー。ミュートのいい匂い度が増したんだけど、どうしてー」
そう言われて思い出す。スキルを確認する。
背負う十字架 剣術ランク4 治癒魔法ランク3 鑑定ランク3 解錠ランク2
導く天使の加護
思ったより増えていた。ロンのスキルは聞いていた通りだけど、剣術と解錠のスキルも増えている――いや、思い当たる節はあった。剣術と解錠はミノタウロス討伐の時にフリードさんが使っていたスキル。つまり――
「防衛は失敗したって言ってたもんな」
「なんか一人で納得してる。ずるいー」
俺の本来持っていたスキル"背負う十字架"の事を話そうと思ったけど、その前にカーミラの唇に邪魔される。
「ねぇ。今からもう一回してもいいかなー」
「質問は一つだったはずでは?」
「ミュートが余計にいい匂いになったせいでー仲良くしたくなった。結果、話はつながってるから一つだよー」
なんだよその理屈は。
「ねぇ――駄目?」
結局、その上目遣いには勝てなかった。
気持ち良さそうに二度寝し始めたカーミラを置いて外に出ると、丁度日が昇り初めた。
「思ったより早い時間帯だった」
誰に言うでも無く呟くと、ライトが歩いて来るのが見えた。
「お、早いな」
「ライトこそ」
「昨日の状態が続いちまってな。どうにもな」
ライトはまだ襲撃を警戒している様だ。砦は落とされているだから偵察がこの辺りまで来てもおかしくはない。そう思ってるんだろう。
「カーミラの話を聞く限り大丈夫そうだけどね」
楽観しているわけではないけど、気を張りすぎても良くは無いだろう。
「まあ、そうなんだけどな。癖みたいなもんだ。気にしないでくれ」
「無理して無ければいいよ」
「いや。すでに無理してるつーの」
そう言って傷だらけの腕を見せてくる。昨日馬車から飛び降りた時の傷だ。
「ああ、ごめん。すぐ治すよ」
「治すって、お前は――」
その先の言葉を遮る様に、ロンから貰った魔法使うとライトが目を見開いた。
「夢でも見てんのか」
頭を押さえるライトに経緯を説明する。
「マジかよ。すげぇ能力だな」
治癒魔法を見たおかげかすぐに信じてくれた。
「これでもっと戦える」
「だな。つーか、カーミラが言ってたのはこのスキルの事だったんだろうな」
少し不安だったけど言って良かった。ただ、これ以上このスキルが発動しない事を願うばかりだった。
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