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「ちょっと買い物行ってくるみたい感じだな」

 ライトはそう言うけど本当はもっと覚悟のいる事だ。決して軽い気持ちでは無いはずだ。

「手伝えるなら手伝うよ。この戦争を終わらせたいし」

「おい、マジかよ」

 ライトは反射的ツッコミを入れたんだろうが、俺の意志は変わらない。

「やった♪ それじゃあ決まりだね」

「ただ――俺は弱い。多分あの砦だと一番弱かった。力になれるとは思えない」

「うーん。そんな事は無いと思うんだけどな。すごくいい匂いだし」

 そんな事はあるのだ。

「そのいい匂いってよくわかんねーよな」

「うーんとね。いい匂いがする人は強いの。これは絶対なんだよね」

 何基準かは分からないそうらしい。

「俺が強そうなら、ライトはもっと強そうでしょ」

「うーん。普通よりちょっとだけいい匂いかな」

「失礼……でもないか、事実だし。ミュートは潜在能力が凄いんだろ」

 自分では分からないけど、そうであればありがたい。まあ、所詮他人に感覚だからアテには出来ない。

「まあ、そういう事だからあんまり期待しないで欲しい」

「いいよー。その匂いだけでヤル気でるから」

 嬉しそうに笑っているカーミラは実に魅力的だ。

「それで、この後のプランはあるのか」

 ライトはさすがの冷静さだ。

「パパはダークスの中心都市のお城でふんぞり返ってるから、そこまで行かないと殺せない。だから、最初の目的はダークスに行く事」

「行く事っても、今まで行き来は禁止されてたからどうやって行けば――って、お前らどうやってここまで来たんだよ」

「転移の魔法陣あるの。先見隊がこっちに来て、その魔法陣をセット。その後にダークスに設置してる魔法陣と接続すれば転移陣が完成」

 ダークスの技術力が凄い。

「便利だね。そんな力があるのにスキルが欲しいんだ」

「確かに、その技術欲しさにこっちがしかけたって方が納得出来るぜ」

 いや違うのか。欲が深いからその技術を身に着けた。その欲深さが技術では手に入れられないスキルを欲しがったのか。

「私は初めから交渉しようって言ったんだけどね。パパは気付けば精鋭を送ってたの」

 そして現状か。

「カーミラの目的は戦争を止める事?」

「うん。本当は戦争を止めたいけど、この国での争いはもう止められない。どこまで戦えるかはこっちの国の人にかかってるけど、ダークスからも大勢来ている訳じゃないからしばらくは大丈夫だと思う。それに、この襲撃であの砦は獲ったみたいだけど、ダークスの戦力もだいぶ削られたの。だから、その間にパパを倒したい」

 確かに好機だろうけど、流石に転送陣は抑えられているだろう。その事を聞く。

「どうだろう。好戦的部隊はほとんどこっちにきてるし案外手薄かも。多分、こっちの人が見てもアレが転送陣だって気付かないだろうし」

「どっちにしろ、それしか方法が無いんだったら行くしかないだろ」

「確かにそうだね。それじゃあ、まずはその転送陣を目指そう」

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