25

 砦に戻ると時間帯が早いのか人は少ない。

「さすがに、まだ警備に残った奴らしかいないか。俺は隊長に報告に行くから、後は好きにしていいぞ。それと明日からは今日の訓練塔の部屋に集合な――あと、これをダリルに渡してやってくれ」

 俺が受け取ったのは先輩が今日の討伐で使っていた槍だ。

「先輩、これ」

「俺は新しいのを買ったしな。それもいい槍だから使える奴が使った方がいいだろ」

「わかりました。渡しておきます」

「頼んだぞ」

 先輩は去り際まで格好良かった。

 荷物を置きに部屋に帰ると、ライトとロンがジャスをしていた。

「おう。おかえり」

 先に気付いたライトが声をかけてくが、ロンは盤面睨んでいる。

「二人はずっと砦だった?」

「おう。俺は訓練塔の屋上で野鳥を撃ち落としてたんだけどな、数匹当てたら帰れってよ。ロンは道具の目利きさせられてから、怪我人の治療したら終わったんだと。お前は?」

 ざっくりと今日あった事を話すと羨ましいがられる。

「俺も討伐行きたかったけど、そのミノタウロスじゃ俺は役に立たねーか」

「なんで」

「だって洞窟だろ。俺の銃だと最悪仲間を撃っちまう。狭い所だと外した時のリスクが高いんだ。一撃で仕留められるならいいけどな。後は跳弾しない広い空間か」

 なるほど、便利な武器もそれなりに場所は選ぶのか。森だとライトは無双なんだけど。

「そういえばダリルは一緒じゃなかったんだ」

 ロンの疑問に答えていると、丁度ダリルが帰ってくる。

「……ただいま」

 怪我無いが妙に疲れた様子だったけど、思ったより早い帰還だ。

「おう。お疲れさん、どうだったんだ。ダリルも討伐に行ったんだろ」

「……大きい魚と戦った。俺は何もしてないけど」

 話を聞くと魔物の討伐はハンクさんと魔術師の人の力で終わったらしい。

「……武器をもっと強くしたい」

 ダリルも弓で掩護したらしいが、ダメージはそんなに入らなかったそうだ。だけど、丁度良い。

「これ、クリス先輩がお古くれるって」

 預かっていた槍を渡すと、珍しく驚いている。ついでにライト達にもお土産を渡す。

「これはライト達に」

 ジャスの盤の上に今日稼いだ金貨を置く。

「えぇぇ! ミュ、ミュート! これ金貨!」

 驚くロンにダリルが追い打ちをかける。

「……俺も皆で何か買いたいと思う」

 そう言って4枚の金貨を並べる。

「はは、なんだよ。魔物討伐ってのはそんなに儲かるのかよ」

 それにしても貰いすぎだろ。魚の魔物がそこまで強かったんだろうか。俺の視線に気がついたのか、ダリルは首をふる。

「……半分は貰った。ルルカさんとミルナさんに」

 その二人の名前で察した俺は黙って頷く。

「俺もダリルも武器が新しくなったし、近々二人の武器も新調しに行こう」

「……今から行こう。ハンクさんから好きに行動しても良い許可は貰ってる」

「いいね。それじゃあ早速行こうぜ」

「僕もいいの」

「……もちろん。仲間だし」

 ダリルの案で俺は再び町に戻るが楽しみでしか無かった。

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