20
「いえ、遠慮しときます」
「俺も短剣を使うし手加減するさ」
逃げようとするが、掴まれている肩が痛い。
「おい、ハンク。そんな時間ないだろ。もうすぐ討伐の時間だ」
クリス先輩が時計を指す。十の刻になろうとしている。それを確認すると同時に俺の肩が解放される。
「そうだな。準備しよう」
特に合図をするわけでも無く、皆が集まってくる。それを確認したハンクさんが指揮を取る。
「それじゃあ、いつもの様に適当に3,4人で組んで合流してくれ。依頼内容はいつもの様にエメラルダの所で」
メンバーが決まっているのか、数人は固まってすぐに出ていく。
「ダリルは俺の隊。ミュートはクリスの隊に入ってくれ」
「……はい」
「わかりました」
俺達はうなずくと、それぞれついていく。
「よーし。それじゃあ、トール、フリード。行くぞ」
「「はい」」
そう言って二人のイケメンが合流する。顔がそっくりだ。
「こいつらは双子のラール兄弟。まあ双子なのは見れば分かるか」
「「よろしく」」
「俺が兄のトールだ」
「僕が弟のフリードです」
顔はそっくりだがトールの方が若干精悍でフリードが柔和だ。これなら覚えられそうだ。
「よろしくお願いします」
挨拶を済ませるとクリス先輩が嬉しそうに手を叩く。
「それじゃあ、行くか」
向かったのは砦から20分程離れた所にあるギルドと言われる所だ。着くまでの間に先輩が説明してくれる。
「ギルドには色々な人が依頼を持って来るんだ。雑務から討伐依頼まで」
「え、こんな辺鄙そうな所でまで依頼しにくるんですか」
「そうか、砦裏の森に行く以外で外に出た事無いのか。今から行くのは王都ゴルドフの城下町。そこの端にギルドがあるんだよ」
こんなに近い所に町があったのか。驚きだ。
「町には冒険者とかもいるから、結構な数の討伐依頼が毎日出される。俺達は一応国の所属になるから、地域貢献的な感じだ――ってのは建前で自分達の金は自分達で稼ぐ。砦は飯とかの心配は無いけど遊ぶ金はくれないからな。まあ、腕を鍛えるって意味もあるけどな」
どんな依頼が多い、人気で取り合いになるとか、そんな話を聞いている間にギルドに到着した。
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