3
「君たちが一番ですか。思ったよりも早いですね。それでは、カードを見せて貰ってもらいましょう」
ガリガリに言われるままにカードを見せると、その表情が変わる。
「おお! これは素晴らしい! 君は剣術ランク2で、君に関して射撃ランク3ですか!」
ガリガリの驚きの声におっさんも近付いてくる。
「なんだぁ。やっぱり初めにくる奴は当たりが多いな。それにしても優秀な能力じゃねぇか」
スキルについて詳しい訳じゃないので、こいつらが驚いている意味がイマイチわからないが俺達はどうやら優秀な部類らしい。
「不思議そうな顔してるが、まあ説明も無いしな。とりあえず詳しい話は後だ」
「ええ、今はとりあえずアクセサリー化を教えます」
「なんだそれ」
「はい。そのスキルカードはアクセサリーとして身につける事ができます。そうすることでスキルの状態を常に確認する事が出来ます」
俺はそれを知っていた。両親から良く聞かされたからな。
「確か、初めにイメージしたアクセサリーは一生固定でしたよね」
「はい、その通り。よくご存知で」
俺はすぐさまイメージすると、手にあったカードは光を発してゆっくりと俺の左耳たぶに向かい形状を変える。
「ほお、ピアスですか。君は剣術ですからね、いい選択です」
ガリガリが頷いていると、隣で同じ様に発光があった。ライトの方をみると自慢げに手を見せてくる。
「なんか随分と変わった指輪」
「これでいいんだよ」
フックの様なモノが付いた指輪をみて、ガリガリは関心している。
「なるほど。君は日頃から猟銃で狩りでもしていたんですね。なら、そのスキルランクも納得です」
そうこうしているうちに、次の奴がようやく報告にきた。
「では、君達には移動して貰います。このまま直進すると洞窟を抜けますのでそこにいる者の指示に従ってください」
二人で頷きそのまま洞窟を進む。もっと歩くかと思っていたが出口までに2,3分だった。
そこには、動きやすそうな鎧を着た若い剣士風の奴がいた。
「お、今回の一番乗りも戦士か。やっぱりそうで無いとな」
スキルを教えて無いのに戦士認定されてしまった。解せぬ。
「はは。不思議そうだから、からくりを教えてやろう。お前たちはアクセサリー化をしてるだろ、これが戦士の証だ」
なるほどとも思ったが、疑問もある。
「初めからアクセサリー化を知っていて、洞窟を出るまでに実行したらどうするんですか」
「君は鋭い事に気がつくね。でも、大丈夫。初めからアクセサリー化出来る時点で戦士になれるから」
言っている意味が良くわからない。
「そうだな、君は勘違いしているようだけど、別にスキルが戦い向きだから戦士になれる訳じゃない。初めからアクセサリー化が出来るから戦士になれるんだ」
「アクセサリー化ってそんなに難しいんですか……」
「まあ、別に難しいって訳でも無いらしいんだけどね。その辺はまた説明があるさ。とりあえず君達は右の馬車に乗ってくれ」
言われるがままに馬車に乗り込むが、これで俺達は戦士になる事が確定した。
中は結構広く20人くらいは乗れそうだ。適当な所に座ると、ライトが小声で話しかけてくる。
「おい、気付いたか」
「何に」
「こっち側の馬車は1台だった。向こうは10台はあったぞ」
全く気付かなかった。
「ああ、じゃあこっちってそんなに選ばれないって事」
「多分な――まあ、選ばれちまったもんはしょうがないさ」
正直俺は戦いたくなんて無い。魔物相手ならまだしも、人同士の殺しあいなんて嫌に決まっている。
「ライトは嫌じゃ無いの」
「どうだろうな。乗り気でもないけど、そこまで嫌でもないさ」
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