兄とのデート


「いいかい悠芽?絶対に、お願いだから絶対に、お兄さんを外に連れ出しちゃダメだからね」


 今朝、お兄ちゃんを預けにやってきたユキは、確かに私にそう言った。だが、今、私はその約束を破っている。つまり、お兄ちゃんと久しぶりのデートをしているのだ。


 今日は、ユキは祖父母の家に、父と母は新婚旅行で今家にいない。だから私は、昔お兄ちゃんとよく行った、水族館と屋内遊園地が併設されているショッピングモールに来ている。

 勿論、二人共変装はしているが、お兄ちゃんの知人にあってはまずい事も分かっているし、バレたらユキにド叱れる事も分かっている


はぁ…


「うっ?」


 私が突然ため息をついたので、心配したお兄ちゃんが、小首を傾げて私の顔を除きながら、慣れた手つきで私の頭をヨシヨシして来た。


(ムッ、お兄ちゃんはズルい…)


私はその行動に表面上喜びつつ、やはりこの兄の反則技はズルいと感じる。でも、やはりこんな兄がたまらなく大好きだと思って、笑顔で抱きつく


「うぅ〜ん!お兄ちゃん大好き!」


 私はやはり、私はユキ達の言うとおり、どうやら重度のブラコンらしい


「まっ、お兄ちゃんが良ければ全てよし!」


「うっ?」


「あっ!お兄ちゃん、お兄ちゃん、ペンギンショーだって!早く行こ!」


私は、昔のように兄の手を引っ張って走った。それに兄も優しく従ってくれるので、やはり兄は生きているとしか思えない。

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