所謂、ハードボイルドは、二種類に分けられる。ハメット型のアクション(冒険)小説的なものか、ロスマク型の家庭的なものかだ。前者は動く標的を追い、後者は静かに紙の上にタイプを打つ。本作、「リベリオン-反逆の狼煙」はその二つを融合させた、「俺」の視点で成り立つ実に重厚かつ薄っぺらいハードボイルドになっている。かつてロス・マクドナルドが自分の探偵は紙のように薄いといったようにだ。それを本作はメタの内容に陥れ、奇書好きの作者らしいメタハードボイルドになっている。これぞ「俺」への挽歌だ。