5. 雨降る前夜

「明日、暇?」

 貴方の方から連絡してくるなんて珍しかった。

 ふと、目にしていた天気予報では明日は雨だった。

「明日は雨よ」

 貴方が傘を持たないのを私は知っていた。

「それがどうかしたの?」

 確かに、傘は私が一本差せば済むことだった。

「どこか行きたい所、あるの?」

 きっと貴方は私任せ。

「特にないや、君が行きたい所でいい」

 それでも良かった。

「わかった」

 何だかまるで、一定の速度で落ちているようだった。

「そしたら、いつもの場所で午後二時ね」

 何だか素っけない会話。でも、もう切れちゃう。

「うん」

 明日は何を着ていこうかな。

 急で緊張しちゃった。

「じゃあ」

 貴方は何の言葉も返さずに電話を切った。

 何となく、ただ何となく、寝る前にカーテンをずらして外を見る。

 雨なんて降りそうにもなかった。

 それなのに、何だか心がざわついて ウレイ

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