2.雨の予感
直ぐ側に君を感じて、ふと足を止めた。
でも、この世界にはもう君はいない。
まるで、空っぽのティーカップのようだった。
いくら揺らしても、何のまどろみも見えない。
それなのに、僕は立ち止まってしまった。
時間を気にせずに歩く僕はひどく無気力で、影に目を落としたがそんなものはすでに無かった。
後方から来た人の影が足元を横切る。傘を差していた。
今日は晴れ、具合が悪くなる。
雨が降る、そう聞いて今日にしたのに。
今日は晴れ。気分が悪くなる。
きっと君は傘を閉じたままで待ってる。
きっとその傘は緑のやつだろう。
きっと、簡単な言葉なんてなくて、その難しさが表面に現れないだけなんだ。
すっかり鳴りやんだ携帯電話がポケットの中で冷たくなっていた。
後悔や未練が擦れた感情を濡らした。
あぁ、何だかもう全部ぶちまけてしまいたい。
どうせ俺の嫌いな奴ほど俺の側にいるんだろうからさ。
僕は見つからないものを探すのが好きなようだった。
期待外れの雨が僕の感情を追い掛けるように降り出す。
傘を持たない僕は打たれることしかできない。
何だか、やっと
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます