2.雨の予感

 直ぐ側に君を感じて、ふと足を止めた。

 でも、この世界にはもう君はいない。

 まるで、空っぽのティーカップのようだった。

 いくら揺らしても、何のまどろみも見えない。

 それなのに、僕は立ち止まってしまった。

 時間を気にせずに歩く僕はひどく無気力で、影に目を落としたがそんなものはすでに無かった。

 後方から来た人の影が足元を横切る。傘を差していた。

 今日は晴れ、具合が悪くなる。

 雨が降る、そう聞いて今日にしたのに。

 今日は晴れ。気分が悪くなる。

 

 きっと君は傘を閉じたままで待ってる。

 きっとその傘は緑のやつだろう。

 きっと、簡単な言葉なんてなくて、その難しさが表面に現れないだけなんだ。

 すっかり鳴りやんだ携帯電話がポケットの中で冷たくなっていた。

 後悔や未練が擦れた感情を濡らした。

 あぁ、何だかもう全部ぶちまけてしまいたい。

 どうせ俺の嫌いな奴ほど俺の側にいるんだろうからさ。

 

 僕は見つからないものを探すのが好きなようだった。

 期待外れの雨が僕の感情を追い掛けるように降り出す。

 傘を持たない僕は打たれることしかできない。

 何だか、やっと有耶無耶うやむやになった泡沫うたかたが再び出来てしまったようで ウレイ

 


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