第6話 誓い

 RX28年4月8日 23時 通天閣跡地 東雲サイド


 ここはほんと……何もないないな。

 昔は賑わっていた場所らしいが今は建物が崩れ落ち、ありえない数のゴーレム達が休止状態で様々な色のEMETH細胞核を点滅させている。

 しかし何もしなければ風の音だけが聞こえる静かな場所だ。


 俺は通天閣があった場所に降り立ち、稼働しているゴーレムがいない事を確認するとEDELを解いた。


 しかし、なぜか視線を感じる……。

 辺りを見渡すがやはり休止状態のゴーレムしかいない。

 気のせいか?

 まあ来たとしても殺してやるよ……。

 俺が最強だ。

 最強なんだ。

 瞳を閉じて合掌をする。


 この場所に来ると嫌でも頭によぎる。

 パパがイレクトを抜けたあの日、パパはイレクトで開発を進めていたEMETH細胞核のエネルギーを使った天空戦艦イザナギとイザナミを脱出に使う事を計画した。


 追手をかく乱するためイザナギとイザナミは二手に分かれたらしい。

 パパはイザナギを指揮し叢雲とアザミを乗せ捨狼の本拠地である淡路島を目指し、根路隊長はイザナミを指揮し俺と白雲を乗せ囮になりつつ、京都にある本土奪還部隊に合流を目指した。


 イザナミは無事に本土奪還部隊に合流でき難を逃れたが、イザナギは大阪城を通過する際、ダイダラを起こしてしまい、ダイダラの放った一撃でイザナギは致命傷を受け墜落が始まり、操作できなくなったイザナギは通天閣に激突して大破した。


 俺達の誕生日はパパに叢雲、アザミを奪う血塗られたものになってしまった。

 そして誕生日が来るたびにふと思う事があるパパたちは楽に死ねたのだろうか?

 もしかしたらゴーレムになって今もどこかで苦しんでいるじゃないかと思うと心がえぐられる。

 だからこの墓参りは俺達の誕生日をしっかり祝える様に毎年必ず行っていた。

 白雲の言う通り、この行動に意味なんてない。

 でも葉道艦長の長ったらしい話を聞くより100倍ぐらい心が煮えたぎる。

 熱い想いで俺の夢を掲げる。

 亡くなった人たちが聞いてくれている気がした。


「ダイダラもイレクトも必ず俺がぶっ潰してやる!」


 昔はただの叫びでしかなったが今は届く。

 パパからもらった力で俺が必ず果たしてやる。

 心が強くなった気がした。

 よし!

 明日は楽しもう!

 さてと……帰るか。

 俺が俺である為の儀式を終えて目を開くと地面にある不自然な光が目に入った。


 光を発している機械を持ち上げてみると裏側にはイレクトの象徴であるカワセミのマークが入っていた。昔は綺麗に見えたカワセミが今はとてもどす黒く見える。


 機械を思いっきり叩きつけたい衝動に駆られるが、ゴーレムの群れを稼働させると大変な事になる為、元の場所にそっと戻すと俺はEDELを起動させ、イザナミに戻った。

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