天使のウインク(1)

100万円の迷惑料を支払う為に、再び足を運んだ雄二と裕之は、いかついおっさんと美人さんが此処に到着する前に身を潜めて居る。

理由は分からないが、いつに無く真剣な裕之の提案なので、言われるままに行動を共にしている。

約束の19:00になっても二人は姿を現さない。

「アイツら来ないな」

「立場が上だから高を括ってるんだろ」

「ムカつくな。何だよ、あのハニーってよ。バカじゃなかろうか」

「まぁ、そうだろうよ。でも、考えてみろよ。たまたまダーツの矢が軽く当たっただけなのに100万って法外だろ?」

「まぁな。でも、立場的には被害者だから、強くは言えんわな」

「俺は、あの美人さんが気になる。あれもおかしい。大体、あんなおっさんと不釣り合いだろ?どう見ても」

「ああ」

「それに、別れ際のウインクがどうも気になる」

「そうだな。俺も気にはなったが、それ程注意する事でも無いかと思ったが」

「あれには或る意味合いがある様に思えてならない」

「何だよ、その意味、、、」

雄二が次の言葉を言おうとした時、入口からあの二人が姿を現した。

「おい、来たぜ、二人。どうする?」

「しばらく様子を伺う」

雄二は頷く。

二人は、バーカウンターでバーテンダーと何やら話している。そのままカウンターに座った。恐らく雄二達を待っているんだろう。

何か飲み物を注文したようだ。また、サワー系だろう。あのがたいで今日はカルアミルクのようだ。

「うわ、気持ち悪いな。今日はコーヒー牛乳だぜ」

「うぜぇな。美人さんは何も注文してないみたいだぜ」

「やっぱり気になるな。普通付き合ってたりすると、相手に合わせるもんだろ?」

「まぁ、そうだな」

「あのハゲと距離感を感じねぇか?」

「言われてみればな」

「やっぱり何か訳がありそうだ」

顎を擦りながら、裕之は二人に眼を光らせている。

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