潜入捜査
福澤さんが一人居たお陰で、ぎりぎり25万確保出来た雄二は、早速裕之に連絡した。
「俺だ」
「誰だ?」
「そのフリも少し飽きたな。俺も25万揃えたぜ。合わせて100万だろ?」
「そんな事は小学校出てなくても分かる」
「引き渡しは今度の土曜日だろ?万事大丈夫か?」
「俺様には愚問だ」
「今回はその横柄な態度は許す。よし、あのいかついハゲ親父に100万、正に足元にBIG money 叩きつけてやろうぜ」
「随分古いな」
「そう言うな。ミッション コンプリートまであと3日だ」
「一寸先は闇だ。気をつけろ!」
よく分からない台詞だったが、取り敢えず二人は枕を高くして土曜日を迎えた。
いよいよ、決戦は金曜日ならぬ土曜日になった。雄二と裕之は、前回と同じく駅前で18:30に待ち合せた。店での待ち合わせは19:00だ。
雄二はいつもの如く、先に駅前に到着している。裕之はまた遅れて来るのだろうと予想はしているが、今回ばかりは遅刻は厳禁だ。雄二も流石に苛立つ。
腕時計を一回、ニ回とひっきりなしに見遣る。しかし何度見たからといって、裕之が早く来る訳でも無い。
すると、ゆっくりとした足取りで裕之が歩いて来る。
「待たせたな。まぁわざとだが」
相変わらずの登場で、雄二は逆にほっとした。
「わかってるよ。金の方は大丈夫か?」
雄二の25万は、前もって合算され、裕之に100万を渡してある。
「ここに来て愚問か。お前は相変わらずレベルが低いな」
「おお、悪かったな。そんな友人を持って幸せだろ?」
「また愚問か。しょうが無い奴だな。まぁ、俺の心の広さで勘弁してやろう」
「悪いな、気を遣わせて」
そう言って歩いているうちに、【例の店】の前に到着した。現在時刻は19:00 の10分前位である。
あの二人が先に到着しているとは考えにくいと悟った雄二達は、店に先乗りする事にした。
店に入ると、やはりあの二人の姿は無い。予想通りだ。
「やっぱり来てないな」
「当然だ」
「どうする?」
「隠れよう」
「何でだよ?その必要は無いだろ?」
「少し思うところがあってな」
裕之がいつになく真剣に言うので、少し気味が悪くなったが、何かピンと来た事が在るのだろうと、雄二は裕之の言うとおり、暗闇の隅っこに身を隠して様子を見守る事にした。
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