第2回神頼み選手権(1)

賽銭箱の「福澤さん救助作戦」は、困難を要している。直ぐ引き上げられそうなのに、成功しない。

雄二は、どうしたものかと考えるが、

「まずは、今回の件で大金が必要でお願いしに来た訳だから、賽銭箱に小銭を入れてお願いするのが道理だな」


【雄二よ、それが普通だろ。この罰当たりめ】


徐に財布を取り出し、中を覗くと100円玉が3枚ある。

「ええい、かなりのお願いだからな」

と言いながら、その100円玉3枚を取り出した。そう言う割には少額だ。

賽銭箱に小銭を入れると2拍して、

「今回は都合200万円必要ですので、何卒」

そう言って一礼した。

すると、小銭が落ちる音がした。

「ん?」

足元をよく見ると、さっき賽銭箱に入れた100円玉が落ちている。

「どういう事だ?」

賽銭箱を持ち上げると、ドサッとお金が足元に落ちてきた。

「うわぁ」

雄二はたまげて、賽銭箱を放ってしまった。

「賽銭箱、そこの板がねえし」

ここに来て一人ツッコミ。

安倍神社には、然程御参りに来る人も居ないので、賽銭がばら撒かれたと言っても、雄二の福澤さんとさっきの300円、それに先だって振られた安倍医院の女医さんの分と数円だった。

合計は12300円くらいであろうか。

「うーむ、賽銭箱の口から取ろうとしていたとは、我ながら愚の骨頂」

頭をポンポン叩きながらのまたもやの一人ツッコミ。

【さて、このお金はどうしたものか?自分の分だけ回収するか。300円は止しておこう。残りは元通りだな。次の人も自分と同じ事情かも知れんし】

雄二は福沢さんのみを回収し、残りは賽銭箱に入れ直して元通りにした。

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