ここは、ひとつ穏便に
「一本」の意味が解らず、衝撃の意味を呑み込んだ二人は、互いに見合った。
「え、100万円ですか?何かの間違いでは?」
「間違えじゃねえよ!舐めてんのか!ねぇ、ハニー」
さっきは薄笑いしていた「ハニー」が段々耳障りのフレーズになって来た。
美人さんはまたも無言を貫く。
「ダーツの矢が少し当たった位でその金額は」
もはや、裕之から生気が感じられない。雄二も俯いて話を聞いている。
「当たった位だぁ?お前ら、よく考えてみろ。当たりどころが悪けりゃ、こんなんで済まねぇのが分かんねぇのか!このタコどもが!」
二人の沈黙が続いた。裕之は暫く考えた後、
「分かりました。そう言う事であれば100万円はお支払いします。その代わりと言っては何ですが」
四人は固唾を飲んだ。
「金輪際、そう言った事はやめていただけますか?」
「なんだ?そう言う事ってのは」
「故意かどうか分かりませんが、俺達と同じ様な目に遭う人がこれからも出ない様にです」
「なにぃ、お前の投げた矢がぶつかってるんだから、お前の責任だろうが!」
「確かにそうです。ですが、100万円請求するっていくら何でも法外な金額ですよ。こちらとしては加害者ですから何も言えませんが、酷過ぎだと思います」
ある程度、強い語気でいかつい男に訴えた。
「法外じゃないよね、ハニー」
美人さんは無言を貫く。
バツが悪くなったのか、いかつい男はそそくさとその場を去る準備をしだした。
「お金の受け渡しは、さっきのお店で。1週間後の19:00で」
美人さんが初めて声を出した。すると、美人さんが雄二たちにウインクした。二人には意味が分からなかったが、何かしらのサインだと察した。
いかつい男と美人さんは、そそくさとその場を後にした。
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