なに?その金額は!

雄二、裕之、いかつい男、美人さんの四人は、適当な居酒屋を探して、駅前まで歩いている。周りから見てもかなり異様な組み合わせだ。

「おい、大丈夫か?どうするんだよ」

雄二は裕之に耳打ちする。

「特に考えてはいない」

【この男は何時、もの事を考えるのだろう】

かなりの付き合いになるが、雄二は未だに裕之の考えている事を理解出来ない。

「おい、居酒屋はまだ決まんねえのかよ」

いかつい男は圧を掛ける。


「此処にしましょうか」

徐に裕之は「居酒屋 伊吹」なる店を指差している。

まずまず敷居の高い居酒屋の様だ。

四人はその居酒屋に入店した。


比較的空いてる店内は落ち着いた雰囲気だった。

他の客もそこそこ居て、店のチョイスは間違ってはいないようだった。

四人は適当に座席を探して座った。

暫くして若い男の店員が、オーダーを取りに来た。


「何になさいます?」

最上級の謙りで、裕之はいかつい男のご機嫌を伺う。

「そうだな、どれにしようか、ハニー」

【また出た、ハニー】

加害者?の二人の思いはシンクロしている。

「いつも頼んでんのでいいだろ」

キレ気味に美人さんは言葉を吐き出す。

「ごめんよ、ハニー。じゃあいつものでいいよね?」

美人さんはシカトした。

「じゃあ、青りんごサワー」

【なにぃ、どうするとその風貌で始まりがそれになるんだ】

またも二人の思いがシンクロ。その確率は上がっている。

「サワー、美味しいですよね」

裕之の心にも無い発言で聞いていた雄二は、吹き出しそうになった。

「おい、片割れ!青りんごサワーだと何か悪いのか」

「い、いえ。意外だなぁと思いまして」

「どう意外なんだ?」

雄二の最大のピンチ!

「いやいや、特別な意味はありません」

「こいつは、そういう奴なんですよ」

「後できっちり教育しておけ」

「了解しました」


注文した飲み物と適当に頼んだつまみがある程度そろうと、

「で、兄さん。今回の件はどう纏めるつもりだ?」

裕之は暫く考えて、

「特には、、、」

「じゃぁ、これでいいや」

いかつい男は人差し指を上げて言う。

「何ですか?それ」

「これですましてやるって事よ」

二人はピンと来ていない。

「お前、分からんのか?一本でいいってことだ」

「一本って何の一本ですか?」

裕之は何となく分かってるが確認する。

「お前、舐めてんのか?100万に決まってんだろ」

二人は凍りついた。

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