なめんじゃねーぞ、コラ!
裕之の投じたダーツの矢が隣のレーンの男に当たってしまった。いかついその男は 、振り向き様に
「おい、兄ちゃん。いま矢が当たったぜ。いってーなー」
雄二と裕之は、血の気が引き、酔いも一気にぶっ飛んだ。
「す、すみません。ガラスが割れた音に反応してしまって。本当にすみません」
「すみません、で済んだら国会議員はいらねぇんだよ」
いかつい男はもう前のめりになっている。
「ちょっと、他の方に迷惑よ」
連れの美人さんが、いかつい男を宥める。
「分かったよ〜ちょっと待っててね〜ハニー」
【なに、ハニーだと?このおっさん、女に甘いんじゃないか?】
裕之は平に謝るが、いかつい男の怒りは鎮火しない。
「どうしてくれるんじゃ、おう?出るとこ出るかぁ?」
圧に押されてたじろぐ裕之。居心地の悪い雄二。
「わ、分かりました。此処では何なので、一旦お店を出てお話しませんか?」
「ほう、話が分かるのぉ、若いの。じゃぁそうするかのぉ」
そう言うと、いかつい男のカップルと、雄二達は渋々この店を出る羽目になった。
駅前なので、それなりに賑わいがある。跋の悪い裕之は、
「こんな事態の時に何ですが、居酒屋さんに行って奢らせて下さい」
と提案した。すると、
「おう、それでチャラにしょうってか?そうはいかんぜ」
「承知の上です。お詫びの印って事でお願いします」
「仕方ねぇ。そうするか」
いかつい男はそう言うと、後から付いて来る美人さんに、
「おー、ハニー。そういう事だけど良いよねぇ〜」
美人さんは首を縦に振った。
「ありがとうございます。助かります」
裕之は、両手の掌を擦り合わせながら答えた。
4人は適当な居酒屋を探す事になった。
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