階段の末路
「菅ビルディング」なる、古ぼけたビルにお目当てのスポーツバーがあると足を踏み入れた雄二と裕之は、ビルのエントランスにテナント名の記載がないかとキョロキョロして探すが、一向にそんなものは無く、只二階へ続く階段が有るだけだった。
「おい、どうするよ?それらしき店は無さそうだぜ。本当に此処で合ってるのか?」
「地図上と住所は合っているはずだ。取り敢えず2階に行ってみるべ」
「随分と軽いノリだな。まぁここまで来たんだ。行くしかないな」
二人は意を決して二階への階段を登って行った。
結構と急で狭い階段を二人は登っていく。階段の末路の直ぐ右側にドアが現れた。看板らしきものは無い。
「おい、看板も何も無いぜ?どうするよ」
雄二は流石に不安を拭いきれない。
「うーむ、開けてみよう」
「即決か?大丈夫だろうか」
「まぁ、もし違っても死にはしない」
「そりゃそうだろ。うーん、それって此処に入る理由なのか分からない」
雄二の言葉が終わる前に、裕之は勝手にドアを開けた。
其処には思いも知らないくらい奥行きが広く、薄暗いバーだった。ダーツやビリヤード、当然バーカウンターも在る。
黒服のバーテンダーがそっと会釈する。他の客も少数だが、居るには居る。
「おい、凄えな。本当に有ったな」
「だろ?虎穴に入らずんばバーを得ずだな」
雄二は無視した。
「ところで、何するよ?」
「取り敢えず飲むか。発見記念だな」
「そうだな」
「飲みながらこの場の雰囲気を掴もう」
「わかった」
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