古ぼけたビルのテナント

雄二と裕之は、スポーツバーなる店へと向かっている。だが、正確には店舗の有り様が分からず、手探りで探すしかない。ただ、地図上にはその店舗は実在する様だ。

「おい、その店は本当に有るんだろうな?」

「携帯の地図上にはあるから、有るだろうよ。まあ、住所上な」

「地図には店舗名は表示されるんだろ?」

「いや、ビル名は出るんだが、そのビルの何階にテナントがあるっていう所の記載はない」

「なにぃ、そんなんでよく行こうと思ったな」

「駅前くらいだったら何とかなるだろうよ」

「そういう意味では無くて、いい加減って事だよ。いつもそうだよな、お前」

「それは今始まった話ではない」

「おいおい、今更逆ギレかよ」

「そんな事より、店探すぜ」


二人は目的の住所の場所に辿り着いた。其処には古びた3階建てのビルが建っており、正面入口の上部には「菅ビルディング」という文字が有るが、その文字もよく見ないと分からないほどに草臥れている。

「住所では此処のようだ」

「おい、随分と年代物のビルだぜ」

「だが、此処で合ってるようだ」

「3階建てのビルだけど、テナントに何が入ってるかも分からなんな」

「分からんなって、何で他人事みたいなんだよ」

「だってそうだろうよ。其処まで地図には書いてないんだから」

「まぁそうだが」

「取り敢えず入ってみるしかないな」

二人はくたびれてた、そのビルに足を踏み入れた。

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