謎に迫る

【折角良いところだったのにぃ】

下心満載の雄二は、安倍神社の石段を一段づつ登って行く。あの女性が言ってた通り、急では無いが明るいのに先が見づらい。

「女性だからキツイんだろう。男の俺なら」

と最初は高を括っていた。

何段登っただろう、もう5分は経過したか、未だに先は仄暗い。

「ははぁ、解ったぞ。石段がキツイから皆来たがらないんだ!」

謎は解けた!かぁちゃんの名にかけて?

と、全く面白くもない事を考えていると急に視界が開けた。すると、見るからにショボくれた境内に着いた。

境内と言うより本殿も無く、何やら華奢な台の上に幅40cm、高さ20cmの桐の箱の様なものが乗っかっている。この箱だけはそこそこ神々しい感じは見て取れる。

「はぁ?」

思わず心の声がもれた。と同時に膝混付いた。

少しは神社っぽいんだろうという、一般的な神社の姿を想像していた為、そのショックは尋常じゃない。

「うーん、中々のオチだな。折角登ったのだからそこは俺の寛大さで受け止めよう」

〈借りにも神様に対して失礼だろ〉

さて、この箱は何だろう?とその箱に近づいた。上から覗くと、箱の中には四角い小さな紙が何片も入っている。

【御籤だ!】

その箱の横には小さな桐の箱があり、小銭が数枚、数えられる程の枚数しか入っていない。恐らく先程の女性のものであろう。

こんな苦労して登って来て、御籤を引かずに帰る選択肢は無いだろ、と突っ込んだ後、

はて、御籤の相場は100円くらいだろうが、幾らとも書いていない。

うーん、此れは鮨やによく有る「時価」ってやつか?

どうするか、財布を見ると小銭が無い!

【おお、何というハードラック】

しかも¥15000、福澤様と樋口様!正にオーマイガー!

雄二はここにきて難問にぶち当たった。

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