お、大当たりか?

安倍神社に徒歩で向かった雄二は、その道中、「何故近隣の住民が御参りに行かないのか」「昨日黄色く光ってた様な気がしたが、何だろうか」とあれこれ腕組みをしながら思案していた。そう思うと、近くに住んでながらあの神社についての認識、知識が殆ど無い事に気づいた。

「うーん、そう思うと謎が多いな。近所の人も行かないんじゃ御利益も期待できないな」

ブツブツ言いながら歩いていると、向こうから歩いて来た結構美人で、小柄な女性とぶつかってしまった。

「あ、すみません。ぼーっとしてて。大丈夫ですか?」

するとその女性は、俯きながら

「だ、大丈夫です」

と、右手を左右に振りながら恥ずかしそうにしゃがんでいる。

それほど強く当たった訳ではないが、しゃがんだままなので、雄二は少し心配になった。

「ほんとに何ともないですか?立てます?」

と、その女性の左腕を持ちながら腰に手を添えてその女性が歩けるように補助をして立たせてあげた。しかし、足取りが覚束ない。

「うーん、どうしたものか」

雄二は少しばかり低いスペックのCPUで答えを導こうと思ったが、

「この先に、さっき御参りした神社があるのでそこ迄連れてって頂けませんか?そこで休んで行きます」

【キター】

内心拳を突き上げた雄二だが、そこは冷静に、

「あ、そうですか。私もあの神社に御参りしようとしてたところですので、好都合です」

「よかった」

か細い声で女性は呟いた。


女性とぶつかったのは、安倍神社への道中の2/3位の位置で、そう距離は無かった。

雄二は女性の腰を支えながら、心の中ではニヤニヤしていた。その事悟られまいと、

「あの神社に御参りしたんですか。誰もいなかったでしょ?何故あの神社に?」

多少無礼な質問を投げ掛けた。

「いえ、特別理由がないんですが。何となくです。貴方は?」

「私も似たような動機で。あの神社は安倍神社って言って、不思議な事に近隣の人は御参りしないって言う少し変わった神社なんですよ」

「あ、そうなんですか」

まさか、興味本意で向かっていたなんて口が裂けても言えない。

まぁ、口が裂けたらまともに喋れなくなるが。


そうしている内にふたりは、赤い鳥居の重なる安倍神社の前に着いた。

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