第3話 黒の薔薇
その部屋には止まらない嬌声が響いていた。
脱ぎ散らかされた挑発的な下着の数々は色濃い染みと、こびりついた白の跡が残る。中には皺のよった制服や煌びやかなパーティードレスも散見されるが、しかしその数はまだ少ない。
と言うのも、今夜の宴はまだ始まったばかり。
乙女を包む可憐な服達の多くは、まだその柔肌に汗を吸ってぴったりと張り付いたままだった。
真夜中に相応しい、柔らかくもどこか官能的な光で照らされるのは王族の個室も斯やという程の贅沢な一室。
そこでは、二十を超える少女達がその歳に似つかわしくない表情で、艶やかな声を上げていた。
その中で、行為を求める声以外に意味のある言葉が生まれる。
「あぁ、それ私も聞いたわローラ。今年の新入生の中にも男が混じってたみたいね。──きっとそいつも……いや、その娘も男が自分一人だと思っているんでしょ。なんか色々笑えるわー」
その音は、そこにいるどの少女よりも甘い響きで、それでいて凛々しい芯のある声だった。
声の持ち主は、腰まで届く絹よりも滑らかで美しい金髪を首だけで払いながら、ベッドに両膝を付いて規則的に腰を動かしている。
「あっ、はぁ……あぁ、あっ、あっ、あっ!」
「やぁ……、んん、んっ、あっ……。はぁんっ……」
その言葉を遮るかのように、四つん這いになって涎を色々な口から垂らす少女と、その横で、別の少女に跨られて恍惚とした表情で腰を跳ねさせる少女が嬉々とした女の鳴き声をあげていた。
「でも、今回は少し他とは違うようですわ。アズサによれば、その子、結構いいところの出らしいようで。……まぁ、アリスにはかないっこないと思いますけれど」
そう返す声は、ローラと呼ばれた亜麻色の髪を持つ、これもまた美し過ぎる少女のものだった。ローラは腰を振るアリスの横で、もう一人の少女に跨られて股間を擦り合わせていた。
いや──。その表現は語弊があるかもしれない。
「なに? ローラはその娘をここに連れてきたいワケ?」
「別に。……あれ、でもどうでしょう。連れてきたら楽しいかもしれませんわ」
「まったく、この色魔は……。こんな所に入学早々連れてきたら、その娘の
「明日、こっそり覗いてみます? 誰とエルマーナになるか気になりますわ」
「冗談。そんな朝早くから起きれる訳が無いじゃん。明日……というか今日は夏季休暇最後の日なんだし、今夜はみんな私達を寝かせてはくれないに決まってる」
「それもそうですわね」
アリスとローラ。
その二人の少女は、類を見ない顔立ちの良さという点以外で他の少女達とは違う特徴があった。
「……っ。あぁ───そろそろ出ちゃう出ちゃう出ちゃう。ムカつくけどもう無理、ってか超きもちいーんですけど。許してあげるわ、アンタもイキなさい」
「あん……っ。私も、もう出そうですわ」
二人の股には、その華奢な体には似合わない雄々しい肉棒があった。
「あっ、あっ、あぁっ、あっ……! アリスからお許しがでたあ! イクっ、イク! イっちゃぅ……っ!」
「ダメです、ダメですローラ様……! わ、私もう達してしまいます!」
ローラは、下着を全て脱いで汗まみれの制服を肌に張り付かせた小柄な後輩を後ろから突きまくり、吐精感に体を倒していく。
アリスは、普段は真面目な委員長でも今は快楽に身をゆだねてしまっている同輩の乳房を、股間に走る痺れる快感の中で鷲掴む。
そして、その四人の艶声が最高潮に達し──、
「うっ……!」
「あは!」
二人の女性器の中で、膨れ上がった男根から白の子種がねっとりと放出された。
「んんんっ………!」
「ああああああぁぁ!!」
同時に、二人の女が痛いほどに背と喉ををそらして悦楽の波を貪る。
アリスは何度か性器が跳ねた後に、満足な溜息を零してゆっくりと一物を引き抜いた。
蜜壺と肉棒との間に糸が渡る中、腰が砕けて引くつく鮑から緩慢な動きで精液が垂れてシーツを濡らす。
「さっきの話だけど……私的にはきっと狙ってる穴はどーせ同じなんだからあまり会いたくはないわ」
「あら、数少ない同じ立場の者同士、仲良くなりたくありませんの? ……あの子、白百合会の深みに嵌られても困りますし」
「興味がないって言ったら嘘になるけど、正直どうでもいいわ。だってここには完成された城があるじゃない」
そう言うとアリスは先程まで蹂躙していた少女に向けて精液まみれの一物を揺らすと、それを口に咥えさせた。
一方、深窓の令嬢の如く麗美な眉を寄せるローラは、物足りないのか、倒れこんできた後輩を優しく抱きとめてその耳に下を這わせながら、精巣袋まで垂れてきた白濁液を混ぜ返すように腰を動かし始めていた。
熱病にうなされるように朦朧とした声で喘ぐ後輩に興奮した様子で、ローラはその輸送の速度を上げていく。
「あぁぁ、アズサ可愛いですわ……。いつもはあんなに無愛想で真面目なのに、おちんぽうを咥えた瞬間にこんなだらしない顔をして……。あぁん、孕ませたい……アズサの子宮に種付けしたい……っ」
「しゅみません、無愛想でしゅみません! ……あっ、いつもローラさまとの行為を妄想してしまうため、淫らな表情を隠すのに必死なんでしゅ! あっ……! はらませてくださいぃ!」
「あははっ、あんた馬鹿じゃないの。また後輩を妊娠させるつもり? アズサには大事な仕事も任せてるのに。見なよアルーア、ローラはまた退学者を出すつもりみたい。あーおかし。……でもなんだか見たら私も種付けしたくなってきちゃったじゃない……っ」
アリスは寝そべりながら腕枕で上半身を起こす傍ら、左手で抱いた同級生の豊満すぎる胸を弄んでいた。
「ん、ん……、んっ、んぱぁっ。……でも二人の子種を授かったのなら退学だなんて些末な事だと思うわ。わ、わたしだってはやくアリスの種で孕みたいもの」
アルーアと呼ばれた少女は、乳頭を摘まれるたび喉を鳴らしながら、手のひらで秘部を抑えて白濁液が零れないようにしている。しかし隣での激しい交尾を目にして、やがて蓋の役割をしていた指先は膨らむ肉芽をこねくり始めた。
「あらあ? なになにアルーアったらいつの間にそんな可愛いこと言ってくれるようになったの? 最初は私に苛められて手で扱くことすらあんなに嫌がってたのに。もう痛くしても涙の粒は浮かべてくれないの?」
「ア……アリスのいじめは……その、愛があるから好き。痛くされても、もうそれが気持ちいいと感じちゃう。……だから、いいよ? めいいっぱい痛くして」
そう言うと、委員長は自ら股を開脚すると、両手を頭の後ろに組んで腰を揺らし始めた。
その様子にいやらしく口端を上げたアリスは、隣を見やって言葉を放った。
「ローラ。私、アルーアの子宮を貰ってもいいよね?」
「あら! アルーアの膣はブリュレのように滑らかで好みでしたのに残念ですがっ! いいですわよ! 貴方の執心していた身体を奪うつもりはありませんの! というより、今はアズサの具合が素晴らしすぎてどうでもいいですわ!」
涎を垂らしながら悦ぶ後輩を後ろから突くのに忙しいローラを尻目に、アリスは天蓋付きの円形ベッドから身を起こした。見渡せば他のベッドやソファ、椅子、はたまた執務机の上で様々な少女達が豪奢な照明の下で絡み合っている。
中にはアリスやローラのような
「アルーア、アンタ明日は車椅子で移動する覚悟はある?」
「う、うん……っ。子種をくれるだけじゃなくて、気持ちよくしてくれるというのだから文句があるわけないわ」
「いいお返事」
「あん……」
「そうと決まれば皆の前で種付けするわよ」
アルーアの秘所を弄っていた腕を引くと、アリスは部屋の中心にある更に巨大なベッドへと向かった。連れられて汗の吸ったシーツから降りたアルーアの腿を精液が伝っていく。
「アリス」
すると、二人を呼び止める声が生まれた。
振り返る。
当然のように、それはローラだった。
ローラはピストン運動を止めないまま、背後のアリスへ視線を送った。
「別に怖がることはありませんのよ」
意外な言葉にアリスは歯噛みする。
「はぁ、怖い? この私が? 何言ってんの」
「新しく入ったという例の生徒のことです」
アリスは一つ大きくため息を吐いてみせた。
「ふざけないで。……そう簡単にこの城は崩れない。そういう風にこの学院は出来ている。だから私がそんな生徒一人くらい恐れたりするわけないじゃん」
「ならいいですが。……でも、私が常に隣にいることをお忘れなきように」
「ふん」
聞くなり、アリスは当惑するアルーアの腕を掴んで歩みを進めた。
「……わかっているわよ」
その小さな呟きは、幼い少女達の嬌声に吸い込まれた。
そして、意を決して振り返る。
「やっぱり後で例の人の
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