PM1:29
魔術実習、ですって。もうこれは質問するまでもありませんね。ていうか、質問したくもありませんね、はい。
「高校生ともなれば、魔術書への習熟もそれなりの域に達していないといけない。じゃないと、いざという時に自分の身を護れないからな」
数時間前に自分の魔術書に殺された俺は一体。
「とはいえ、命がけの殺し合いをしろってわけじゃない。ちょっとだけ相手を痛めつけるだけでいい」
体育の授業で出るべきじゃないワード、『痛めつける』の登場ですよ。つーか、『魔術実習』って言葉のどこに殺し合い要素があるんだ。
「ってわけで、勿論自分の魔術書は持ってきてるな?」
「ないです」
俺はすぐに手を上げた。けど、他に挙手するやつはいない。
気が付けば、みんな手に魔術書っぽい何かを持っている。どこにそんなモン隠してランニングと柔軟体操こなしたんだお前ら。
「おいおい、まーた三島かぁ。昼飯食い過ぎてランニングサボったり、今日はなかなかやりたい放題だなぁ?」
あかみちんがからかうように言い、笑いが巻き起こる。俺達を楽しませようと、そして俺があんまり悪く見えないようにしてくれてるんだろう。
だから、俺も道化っぽく頭を掻きながら笑みを漏らす。
「いやぁ、ちょっと忘れただけだってあかみちん」
「おぉ、誰だってそんな事はあるよな!」
にかっ、と満面の笑みで、あかみちんは俺の教室の方を指さす。
「じゃ、取ってこい。ダッシュで」
腹痛ぶり返したらマジで呪うからなちくしょう。
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