AM11:17

 時計を見やる。11時17分。授業の終わりまで10分を切っている。


 今は寝起きで少し体がだるいけど、疲れが少し取れているような気がした。あとは昼休憩も利用して休むことが出来れば、昼からの授業もどうにか耐え抜くことが出来そうだ。


 うん、まぁそれはいい。今気にすべきは、なんで先輩が別に死んでもいない俺の目の前にいるのかって事。


 ……死んでない、よな? 実はマジで俺が寝てる間にドナドナしてて、生き返った時の感覚を目が覚めたように感じてしまったとか、ないよな?


「な、なんで先輩がここに?」

「小酒井先生がお休みになったって聞いてぇ、丁度暇だったから遊びに……様子を見に来てあげたのぉ。私ってば優しぃ~」


 まったく誤魔化せてませんよ? うん、まぁなんか可愛いからいいけど。


 まぁ良かった。口ぶり的に、俺を生き返らせるために来たわけじゃなさそうだ。つまり俺は死んでなんかいない。


 ……つまり俺は死んでなんかいない、ってどういう独り言だよ。普通に考えて意味分かんねぇよ(遠い目


「それにしても、三崎君……だったわよねぇ? 良い眠りっぷりだったよぉ。20分くらい待ち続けてたのに、ぜぇんぜん起きないんだものぉ」


 ホント暇なんだな。死人が出てないって事なんだから良い事なんだけど。


「はぁ、まぁ、なんかすみません」

「良いのよぉ、寝る子は育つって言うしぃ。私は教師じゃないから、ぶっちゃけどうでも良いしぃ」


 ホントにぶっちゃけたな。あのスイッチで容赦なくび出される苦労人だと思ってたけど、実際はただの自由人っぽいな、この人。


「で、本題なんだけどぉ?」

「本題……? だから遊びに来たんでしょう?」

「よ・う・す・を・み・に・き・て・あ・げ・た・の! お分かりぃ?」

「わ、分かりました」


 遊びに来たんですよね、と心中で頷きつつ返す。先輩は満足げに笑った。


「分かればいいのよぉ。で、それとは別に気になってた事があってぇ」


 先輩は俺のカバンを指さした。


 今朝も同じような場面あったなそういや。あの時の先輩は、中にあるあの魔術書に反応しているようだったけど。


「私、興味あるの。見せてくれなぁい?」

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