AM11:19
さて、考えどころだ。
先輩は俺にあの魔術書……ネクロノミコンを見せて欲しいという。
どうやらあの魔術書はすげぇ力を持っているようなので、悪魔である先輩のセンサー的な何かに引っ掛かったんだろう。
しかし、素直に見せていいものか。ネクロノミコンを見た時の凛の興奮っぷりを思い返し、俺はそんな思いに駆られていた。
(なんか、無駄に目立っちまいそうだからなぁ……)
ネクロノミコンが俺の思うようなレアな魔術書なのであれば、先輩のみならず、この場にいる生徒達にとっても物珍しい代物のはずだ。
そんなところでネクロノミコンを出して、プチパニックとかになったりしないだろうか? ならなかったとしても、俺がネクロノミコンを持っている、という噂が広がったりしないだろうか?
いや、別に俺にやましい事があるわけじゃねぇけど。ネクロノミコンに認められた、なんて意味不明な理由で貰えただけだし。
だがまぁ、やっぱり変に目立つのは避けたいというのが本音ではある。元々そういうのが苦手という事もあるし、このイカれた世界で目立つ事によって『世界の意思』的な何かに狙い撃ちでもされたらたまったもんじゃない。
いや、マジでそんな気がするんだって。出る杭は打たれるっていうか。この世界なら、ピンポイントで俺の頭上に隕石を降らせるぐらいやりかねねぇだろ? な?
よし、決めた。高速思考を終了、この間4秒。我ながら脳みそフル回転しちまったぜ……。
先輩には悪いが、ネクロノミコンの事は黙っておこう。って、さっきから俺ネクロノミコンって心の中で連呼してんな。なんかすげぇ恥ずくなってきた。
気を取り直して俺は先輩を見……あれ、いねぇ。
「ふ~ん、不思議な魔力の正体はこの魔術書だったのねぇ」
せんぱぁい! 俺、許可出した覚えないんすけどぉ!
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