AM10:41
三時限目、世界史。
芸術の授業同様、選択授業だ。地理、日本史を加えた3つが候補で、隣の6組と合同で受ける事になる。
地理組は専用の教室があるのでそちらに移動していて、日本史組の授業は6組の教室で行われる。なので世界史は俺達5組の教室が会場となり、世界史組の俺は移動をしなくてもいい。
トイレから戻ると、もうクラスメイト達は各々の教室に移動していた。5組の人数がごっそり減った中、6組の世界史組が合流。いつもと何やら雰囲気の違う光景が出来上がっている。
まぁ、いつもの事なのであまり違和感はないけど。日本史組の保手浜と別れ、俺は世界史の準備を始めた。ここにきてようやく書店で借りた世界史の教科書が活躍……、
(来ねぇなぁ)
……出来ずにいた。チャイムが鳴って少し経つのに、教師が教室に入ってこないのだ。
世界史の担当教諭は小酒井。
普段から気だるげでやる気の薄いおばちゃんだが、それでも授業はそれなりに真面目にやる人でもあるんだが。
「今日は自習だそうです」
と、様子を見に行っていた津島さんが教室に入るなりそう言った。
どうやら、通勤時に巻き込まれた厄介事が長引いているらしく、今日は欠勤扱いとなったようだ。そういや、担任が遅れたからホームルームなしになってたんだったな。そこまで本格的な何かに巻き込まれてたとは。
まぁ、やべぇ事が起きたんだろう。その内容を予想してもキリがないので、気にしない事にする。
(しかし自習か……)
俺は内心ほっとしていた。
1つは、教科書を書店が借りている負い目が少しだけ減ったような気がして。
もう1つは、イカれている……かもしれない授業を受けずに済んだことに対して。
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