清々しい朝
AM7:23
「……あ、そうなんだ」
どうやらお母様は悪魔を召喚しようとしてるらしいです。
生返事を返しながら、その発言を限界まで好意的に解釈しようとしてみる……うん、デーモンをサモンする以外にどう捉えろと。
「えっとじゃあそれは」
「そ、魔法陣よ」
当たり前じゃないそんなの、とばかりに。
母さんが今何をしているのかというと、ほかほかと蒸気が立ち上る炊飯器にしゃもじを突っ込み、掬いあげたご飯をテーブルの上にぶちまけている。
皿の上とかじゃなくて、テーブルに直に、だ。そこからご飯粒一つ一つを使って何やら紋様を描いている。うん、まぁ魔法陣に見えない事もない。
リビングに入って真っ先に、ご飯粒をより分けながらぶつぶつと絵を描く母さんを見た時の俺の気持ち、察して欲しい。
「修二、さっきから何をおかしな事を言っているんだ?」
と、後ろから声。父さんが新聞を読みながらトーストにかぶりついている。
「母さんの日課を邪魔してやるな。ほら、ご飯食べろ食べろ」
日課ですか、そですか。俺、初めて見ましたけど?
よし、落ち着け俺。どうやら、この場でおかしな事を言ってるのは俺のほうらしいぞ。これ以上騒ぐのは分が悪い。
「分かったよ……あ、おはよう父さん」
「ああ、おはよう」
状況をもう少し把握するためにも、とりあえずこの状況に乗っかる事にする。
俺は生粋の日本人。右にならえ、長いものには巻かれろ、ってな。
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